インドから最高級の紅茶を輸入するロチャンティー・ジャパン株式会社代表取締役の指田千歳氏。倫理法人会の教え「物はこれを活かす人に集まる」を自身の仕事と照らし合わせながら、紅茶との出会い、失敗からの学び、そして本当の意味でプロフェッショナルになるまでの道のりを語りました。あなたは今、目の前にある「物」を本当に活かせているでしょうか。

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紅茶との運命的な出会い──それは一瞬の感動から始まった

指田氏の紅茶への情熱は、2011年の春、インドのロチャンティー社CEOラジブ・ロチャン氏との出会いから始まりました。長年紅茶に携わってきた指田氏でさえ見たことがない美しい紅茶。若草色のフルリーフにお湯を注ぐと、花のように優雅に香り、日向の温かさを感じる風味が広がったといいます。

「一瞬で幸せな気持ちになりました」

この感動が今も指田氏の原動力になっています。それ以前、広告代理店で働いていた頃に紅茶と出会い、日本紅茶協会のティーインストラクター資格を取得。当時の上司から「今学ぶことは、将来必ず血となり肉となる」と背中を押され、1週間に1回、会社に内緒で1年間通い続けました。

振り返れば、船会社で輸入の仕組みを学び、商社で売買や帳簿を学び、広告代理店で企画力を磨いた経験が、すべて今の仕事に繋がっているのです。無駄なことは一つもなかった――そう気づいたとき、紅茶を一生の仕事にする覚悟が決まりました。

有頂天の先にあった痛烈な失敗──クレームしか言えなかった日々

順風満帆に見えたビジネスでしたが、大きな転機が訪れます。年間30トンという大量取引を任されたとき、指田氏は有頂天になっていました。20フィートのコンテナ10個分もの紅茶を扱う規模です。

しかし、インドとの取引では次々とトラブルが発生しました。荷物が水をかぶる、パレットに載っていない、カビが生える、パッケージが壊れる――そのたびにインドへクレームの電話をかけ、相手を責めることしかできませんでした。

「クレームを言うのが私の仕事なのでしょうか」

ある日、指田氏は自問しました。本来なら現地に行って問題を解決し、経費をかけたり人を手配したりすべきだったのに、すべてインド任せで文句ばかり言っていた自分に気づいたのです。

コロナ禍でその大きな取引は終わりました。表向きの理由はコロナでしたが、指田氏は確信しています――本当の理由は、自分がちゃんとできなかったからだと。紅茶も取引先も協力会社も、大切にしていなかったと深く反省しました。

倫理法人会に入って初めて学んだことがあります。うまくいっているときこそ「これでいいのか」と点検する。事件の渦中にいるときは、誰かのせいにするのではなく「今、自分に何ができるか」を考え抜き、行動する。まず火を消すことが先なのです。

紅茶を「活かす」とは──プロとして問われる本当の仕事

いくら最高級の紅茶を仕入れても、それだけでは価値は生まれません。指田氏が気づいたのは、紅茶を活かすも殺すも、最後にお湯を注いだ人次第だということでした。

「この人の手にかかったから、この紅茶が輝いた」

そう言われることが、指田氏にとって最大の喜びです。高価な紅茶でなくても、その紅茶の良いところを最大限に引き出す――それがプロの仕事だと語ります。お湯の温度、時間、ポットの素材ひとつで風味は大きく変わります。

紅茶をただ仕入れて売るだけでは、「指田さんはロチャンティー社がバックにいるからずるい」と言われていた時期もありました。でも本当に大切なのは、その紅茶を届けてくれた人に対して、自分をどう活かしてもらえるか、相手に何を喜んでもらえるかを常に考えることでした。

3トンもの在庫を抱える困難に直面したこともありましたが、倫理で学んだ心の持ち方を実践することで道が開けました。争いは何も生まない―― お茶 =「TEA」に「M」を付けると、「TEAM」になります。紅茶を通じて、人と人の気持ちを繋げることこそが使命だと、改めて心に刻みました。

警報に耳を澄ます──健康という気づきのサイン

2023年、指田氏はティーインストラクター・オブ・ザ・イヤーで準優勝を受賞しました。倫理の学びのおかげで、気持ちが落ち着き、順調に見えた矢先の2025年冬。人間ドックでポリープが見つかり、すぐに手術が必要と告げられました。全く自覚症状がなく、全国を飛び回っていた日々でした。

病院に入院することさえ抵抗がありましたが、取り出してみると予想以上に大きかったといいます。これは警報なのだと気づきました――今までハチャメチャにやっていたイベント三昧の生活に、急ブレーキをかけて見直す時期が来ているのだと。

50代、60代、70代と年を重ねる中で、20代30代と同じようにはできなくなります。この警報に耳を澄まし、今こそ立て直すべきなのかもしれません。倫理法人会で学んだ「おかげ様」の心で、早期発見できたことに感謝しています。

まとめ──共に学び、実践する一歩を

ロチャンティー・ジャパン株式会社代表取締役の指田千歳氏は、紅茶との出会いから失敗、そして再生までの道のりを通じて、「物はこれを活かす人に集まる」という倫理の教えを実践してきました。

最高の原料があっても、それを活かすのは人です。プロフェッショナルとは、その物の価値を最大限に引き出し、関わる人すべてに喜びを届けられる人のことかもしれません。

仕事で何かうまくいかないとき、私たちはつい環境や他者のせいにしがちです。しかし指田氏が教えてくれたのは、まず自分に何ができるかを考え、目の前にあるものを本当に大切にすることの重要性でした。

湯島倫理法人会のモーニングセミナーでは、毎週このような実践者の生の声を聞くことができます。あなたも一度、早朝の学びの場に足を運んでみませんか。きっと、あなたの仕事や人生を「活かす」ヒントが見つかるはずです。

講師プロフィール

指田千歳(さしだ ちとせ)
ロチャンティー・ジャパン株式会社 代表取締役

2011年、インドのロチャンティー社CEOラジブ・ロチャン氏との出会いをきっかけに、最高級ダージリン紅茶の輸入ビジネスを本格始動しました。インド・ダージリン地方の87茶園と信頼関係を築き、通常市場には出ない最高品位の紅茶を日本に届けています。2017年のダージリン全域ストライキ時には、大手紅茶メーカーに5トンを納品し事業を法人化しました。オリジナルブレンドの桜ダージリンは2020年にアメリカAWARD 2020で金メダルを受賞。日本紅茶協会認定ティーインストラクターとして紅茶セミナーやイベントも開催し、紅茶を通じて人と人を繋ぐコミュニティづくりにも情熱を注いでいます。「紅茶を届けてくれた人に喜んでもらえるまでが仕事」という信念のもと、持続可能な紅茶文化の発展に貢献しています。

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