アレルギーや喘息に苦しんだ幼少期。父が創業した化粧品会社を継いだものの、甘い考えが招いた試練の日々。株式会社ビープロテック代表取締役の宮下しのぶ氏は、倫理法人会との出会いをきっかけに、経営者としての覚悟を定めました。父との対話で気づいた「本当の使命」とは何だったのでしょうか。

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「私だったらできる」──甘い覚悟が招いた試練

宮下氏は大学卒業後、三菱商事で営業職として活躍しました。そこで出会った上司は、部下を褒めて伸ばすリーダーでした。任された裁量の中で数字を伸ばし、充実した日々を過ごしたといいます。この経験が、後の経営者としての姿勢に大きな影響を与えることになります。

やがて結婚、出産、離婚を経て、宮下氏は化粧品メーカーに再就職します。その背景には、父が創業した化粧品会社の存在がありました。「いつかは事業を継ぎたい」。そんな思いを抱いていた宮下氏は、働きながら夜間の大学院でMBAを取得します。

父に報告すると、めったに褒めない父が「よく頑張ったね」と言ってくれました。そして「授業を受け継いでもいいかな」と。宮下氏は喜びました。しかし同時に、心のどこかで「私だったらできるだろう」「土台があるから大丈夫」という甘い考えも持っていたのです。

事業を継いでみると、現実は厳しいものでした。新入社員と同じように、人間関係をゼロから築かなければなりません。仕事のやり方も覚えることだらけです。周囲は「創業者の娘」としか見ていません。やって当たり前という空気が重くのしかかりました。

そんな中、ある社員が担当していた大型システムプロジェクトに疑問を感じます。予算は支払い済みなのに、進捗が見えません。外部業者に丸投げしているようにも思えます。宮下氏は父に相談しますが、「入ったばかりのお前に何がわかるんだ。俺は社員を信用してる」と一蹴されました。

日を追うごとに不安は募ります。通帳を調べ、状況を確認するたびに眠れなくなりました。そしてついに、父に感情をぶつけてしまったのです。「なんでこんな社員雇ったの」。心無い言葉でした。父は何も言わなくなりました。後悔と自己嫌悪。会社の空気は重く、売上も上がらなくなりました。

倫理指導が問いかけた「自分事」という視点

転機は突然訪れました。文京区倫理法人会のイブニングセミナーに誘われたのです。テーマは組織運営に役立つ「気質」の話でした。「これは会社で使える」と感じた宮下氏は、翌日のモーニングセミナーにも参加します。

そこで会員から「倫理指導」というものがあると聞きました。事業がうまくいかない悩みを抱えていた宮下氏は、迷わず倫理指導を受けることにします。

倫理研究所の先生は、宮下氏に問いかけました。「経営理念はありますか」「はい、あります」と答える宮下氏。しかし先生は続けます。「あなたは自分事として経営理念を作ったことがあるんですか」。

その言葉にハッとしました。経営理念は父が作ったものです。自分は父が作った会社、父が作った経営理念に甘えていたのではないか。経営者として、他人事として捉えていたのではないか。

「あなたの会社の経営理念を作ってください」。先生の言葉はピシッと響きました。その瞬間、宮下氏の心に小さな変化が生まれます。しかし実践はすぐには進みませんでした。1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月が過ぎます。

だんだんと気づいてきました。社員と本当に腹を割って話していなかったこと。父とも本気で向き合っていなかったこと。曇っていたのは自分の心でした。不平不満ばかり口にして、すべてを人のせいにしていた自分に気づいたのです。

父との対話で気づいた、本当の使命

心を決めた宮下氏は、お盆のときに父と向き合います。「経営理念をどうやって作ったの」「どんな思いで会社を作ったの」。素直に聞きました。

父の答えはシンプルでした。「お客様が喜ぶ顔が見たい。だから安心安全な商品を作りたい。それだけだ」。研究開発者だった父の純粋な思いが伝わってきました。

その瞬間、宮下氏の中でさまざまな記憶が蘇ります。喘息で眠れず、救急車で運ばれた小学生時代。アレルギーで痒くてかきむしり、眠れなかった日々。不整脈で突然気分が悪くなり、電車を降りたこと。

そのとき、いつもそばにいてくれたのは両親でした。そして、自分を救ってくれたのは父が作った商品でした。「そうだったんだ」。初めて、心から感謝の思いが湧いてきたのです。

困っている人の助けになりたい。これが自分の使命だ。父の話を聞いて、すべてが繋がった瞬間でした。宮下氏の中で、本気の覚悟が生まれたのです。

実践が生んだ変化──数字より大切なもの

倫理法人会に入会してから、宮下氏は足元の実践を続けていました。誰よりも早く会社に行き、掃除をする。水回りの排水溝を毎日綺麗に洗う。小さな実践を積み重ねます。

そして父との対話を経て作り上げた経営理念を、社員に伝え続けました。「お客様を笑顔にしたい」「困っている人の助けになりたい」。毎日、ことあるごとに語りかけたのです。

すると、社員に変化が現れました。以前は取引先と口論になりがちだった営業社員が、「社長がそう言うなら、もう1件取ってきます」と自ら動き出します。定例会議では、事前にアジェンダを作り、ゴールを設定してくれるようになりました。他の社員やアルバイトにも声をかけ、会社のリーダーとして成長していったのです。

万人幸福の栞の41ページにはこう書かれています。「人を改めさせよう、変えようとする前に、まず自らが改め、自分が変われば良い」。まさにその通りでした。自分が変われば、本当に人が変わるのです。

昨年度、売上は前年同月比120%を達成しました。しかし宮下氏にとって、本当の成果は数字ではありません。お客様から届いた言葉が、何よりの財産だといいます。

「この商品を使って本当に良かった」「アレルギーがあったけれど、ずっと使い続けています」「この商品をなくさないでほしい」。お客様の笑顔が、宮下氏の使命が届いている証でした。

ちなみに、問題を起こした社員は、その後自ら会社を去りました。母親の体調が悪くなり、そばにいたいという理由でした。宮下氏は今、その社員の幸せを願っています。あの出来事がなければ、経営理念を見直すこともなかったかもしれないからです。

苦難は、自分の心の歪みや、正しく生きていないことを教えてくれます。宮下氏はそう学びました。

まとめ──共に学び、実践する一歩を

株式会社ビープロテックの宮下しのぶ氏が語ったのは、倫理の実践が人生を変えた物語でした。甘い考えで事業を継いだ自分。不平不満に満ちていた心。しかし倫理法人会との出会いと、父との対話が、本当の使命に気づかせてくれました。

「自分事」として経営理念を作ること。足元の小さな実践を続けること。自分が変われば、周りも変わること。宮下氏の体験は、私たちに多くの学びを与えてくれます。

倫理を学ぶだけでなく、実践することの大切さ。宮下氏は今も、万人幸福の栞とともに実践を続けています。家庭でも、社会でも、事業でも。

湯島倫理法人会のモーニングセミナーでは、このような実践者の生の声を聞くことができます。あなたも一緒に学び、実践の一歩を踏み出してみませんか。

講師プロフィール

宮下しのぶ(みやした しのぶ)
株式会社ビープロテック 代表取締役・MBA経営学修士
文京区倫理法人会 会長・法人レクチャラー

東京都文京区出身、現在さいたま市在住。幼少期より体が弱く、アトピー性皮膚炎とぜんそくを発症していました。現在も漢方や食事療法を取り入れ、内側だけでなく外側からも体質改善を図っています。大学卒業後は大手商社を経て化粧品メーカーへ転職し、9年前に夜間でMBAを取得しました。現在は創業35年の父の事業を継承し、代表取締役として8期目を迎えています。自社開発化粧品製造販売、OEM事業、化粧品コンサルティング業を展開し、自身の経験と知識を活かして「カラダの中からの本当の肌づくり」をテーマにセミナーも定期開催しています。2018年2月に文京区倫理法人会へ入会し、2023年9月より会長を務め、すべてのお客様の笑顔を作ることを使命に日々実践を続けています。

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