誰かをひと言励ますだけで、相手の人生が変わるかもしれない。そう信じて、朝の駅前に立ち続けてきた一人の女性が第1103回湯島倫理法人会モーニングセミナーに登壇しました。一般社団法人全日本応援協会代表理事・応援学®提唱者の朝妻久実氏の講話は、「応援とは何か」を超えて、「どう生きるか」を静かに問いかけるものでした。あなたの周りに、まだ伝えられていない「ありがとう」はありませんか。

毎週月曜の朝、経営者の体験談から学ぶ場があります

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知らない誰かのために立ち続ける理由

朝妻久実氏が率いる「朝チア」とは、チアリーダーのユニフォームを身にまとい、朝の駅前で出勤途中の通行人を本気で応援するという活動です。新宿、新橋、品川——週替わりでさまざまな駅前に立ち、声とダンスでエールを届けてきました。その継続期間は15年を超え、実施回数は1,600回以上にのぼります。フジテレビ「News it!」やテレビ朝日「ナニコレ珍百景」、NHK「おはよう日本」などのメディアに取り上げられ、いまや「世の中を元気にする新しい応援のカタチ」として広く注目を集めています。

「なぜそこまでできるのか」と問われることは多いといいます。立ち止まらずに通り過ぎていく人の方が圧倒的に多い。それでも続けられる理由を、朝妻氏はこう語りました。「100人が通り過ぎても、ほんの1人に届いたら、それがこの活動の価値です」。

この言葉の裏には、単なる情熱だけでなく、脳科学・心理学との接点もあります。応援学®の実践と研究を通じて朝妻氏が確信していることの一つが、「応援はされる側よりも、する側の方が幸福度が高い」ということです。またハーバード大学が1938年から80年以上にわたり700名以上を追跡した「ハーバード成人発達研究」でも、人が最も幸福を感じる要因は「良い人間関係」であることが示されています。応援することとは、分断の時代に温かいつながりを編み直す行為そのものなのです。

挫折のどん底から出会った、一筋の光

朝妻久実氏の歩みは、決して平坦ではありませんでした。北海道の豊かな自然のなかで育ち、大学進学を機に上京。チアリーディング部での活動を通じて「人の声で場を動かす」喜びに目覚め、アナウンサーを目指すことを決意します。しかし就職活動では約70社もの壁に跳ね返され、卒業後もアルバイトをしながら挑戦を続けました。

そのどん底の時期、故郷・北海道のラジオ局に思いきって連絡を入れ、憧れのアナウンサーに直接会いに行きました。相手はジャッジするわけでも、安易な慰めを口にするわけでもなかったといいます。ただ静かに話を聞き、最後にこう言ってくれました。「あなたならきっとできる」。70社落ちていることも知ったうえで、それでも可能性を信じてくれた。その一言が、折れかけた心に再び火を灯しました。

大学卒業後も諦めずに挑み続け、2年後についに夢を実現します。やっとの思いでアナウンサーになるも、1年で契約は終了。東京に戻り、オーディションに挑み続けますが、100件以上の不合格が続きました。仕事もお金も自信も失い、視野がどんどん狭まっていくような日々。自分自身を大切にできなくなっていたその頃のことを、朝妻氏は率直に振り返りました。

「応援する側」になったとき、人生は動き出した

転機は、友人の一言でした。「あんた、何がやりたいの」。責める言葉ではなかったはずなのに、胸に刺さりました。そのとき、ふと浮かんだのが「チア」でした。すると友人が教えてくれたのが、新宿の駅前で一人、出勤途中の人たちを応援するチアリーダーの存在でした。

勇気を振り絞って見に行くと、その女性は音楽を止め、自分の言葉で語りかけました。自分で決めて自分でやり続ける姿、そして「忘れていた夢にもう一度だけ立ち向かってほしい」という願い——その姿が、自分事として胸に響きました。見知らぬ人の行動に、もう一度立ち上がる力をもらったのです。その場でメンバー参加を申し出て、第一号として「朝チア」に加わったのが2010年のことです。

応援を続けるなかで、ある朝、仕事を失った女性に声をかけられました。「あなたたちの姿を見て、私にも何かできる気がしてきた」。翌朝、その女性は朝チアの数メートル横で、自ら靴磨きを始めていたといいます。その瞬間に気づいたことがあります。認められたい、受かりたいという内向きの心が、誰かの背中をそっと押したいという外向きの心に変わっていた。そしてそちらの方が、はるかに喜びが大きかったのです。

それからというもの、ずっと落ち続けていたオーディションに受かるようになりました。プロデューサーから声がかかり、学生時代から夢だったテレビ番組のキャスターも実現します。自分のことばかり考えていたときには動かなかった歯車が、誰かを応援することで回り始めた——これが朝妻氏の原体験であり、応援学®という探求へと発展していった源です。

まとめ──あなたの一言が、誰かの希望になる

一般社団法人全日本応援協会代表理事・朝妻久実氏の講話は、「応援」という言葉の意味を静かに、しかし力強く問い直すものでした。ユニフォームを着て踊らなくてもいい。大声で叫ばなくてもいい。「ありがとう」の一言、隣にいる誰かへのほんの少しの関心、それもすべて応援なのです。

倫理の実践でも「純粋な思いで誰かのために動く」ことの大切さが繰り返し語られます。朝妻氏の歩みは、その教えが確かに人生を変えることを、身をもって示していました。公益社団法人日本青年会議所主催「JCI JAPAN TOYP2022(青年版国民栄誉賞)」会頭特別賞という形でも社会に認められたこの活動の根本は、シンプルです。信じる。寄り添う。一歩踏み出す。目指すは応援あふれる社会、応援の社会実装。

あなたの周りに、あなたの一言を待っている人がいるかもしれません。まずは今日、一人に「大丈夫?」「頑張ってるね」と伝えてみませんか。湯島倫理法人会のモーニングセミナーでは、こうした実践の気づきを毎週分かち合っています。ぜひ一度、早朝の学びの場にお越しください。

講師プロフィール

一般社団法人全日本応援協会 代表理事/応援学®ラボ主宰/応援プロデューサー/フリーアナウンサー
いたばし倫理法人会 会員
朝妻久実(あさづまくみ)

1983年、北海道生まれ。大学時代にチアリーディングと出会い部長を務める。アナウンサーを目指すも約70社に落ち、卒業後も挑み続けて山陰中央テレビへ入社。退社後にフリーへ転身し、2010年より「朝チア」に参加。2018年に一般社団法人全日本応援協会を設立し代表理事に就任。朝の駅前で通勤者を応援する活動は1,600回超。公益社団法人日本青年会議所主催「JCI JAPAN TOYP2022(青年版国民栄誉賞)」会頭特別賞受賞。NHK・ニューヨークタイムズ等にも紹介される。旭川観光大使・港区観光大使。著書に『誰かをちょっと応援するだけでしあわせになる!』(アスコム)。

湯島倫理法人会 モーニングセミナー

誰かを応援する気持ちが、
自分の経営も動かしていく

朝妻氏が語ったように、誰かの背中をそっと押す行動は、自分自身にも変化をもたらします。
湯島倫理法人会のモーニングセミナーでは、こうした実践の気づきを経営者同士で毎週分かち合っています。

毎週月曜 朝7:00〜8:00 参加費無料 会員でなくても参加可能
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