社員の頑張りに、きちんと報いたい。その気持ちはあるのに、いざ人事評価制度を作ろうとすると手が止まってしまう。そんな経営者の方は、少なくないのではないでしょうか。
人事評価制度の作り方は、様式を選ぶところからではなく、何のための評価かを決めるところから始まります。目的、ものさし、伝え方。この順序で組み立てていくと、途中で迷いにくくなります。
同じ白書には、制度の有無と定着状況の関係も示されていました。導入の現在地、定着との関係、ものさしの決め方、そして納得を育てる5つの土台を順にたどります。お役に立つところがあれば嬉しく存じます。
人事評価制度の作り方|つくる前に決めておく「何のための評価か」
人事評価制度の作り方は、目的・ものさし・伝え方の3つを、この順に決めていく作業です。様式選びは最後で構いません。
他社の評価シートをそのまま持ち込んでも、運用の途中で必ず「これは何のための点数なのか」という問いに戻ってきます。私が以前かかわった会社でも、立派な様式を配った翌年に、誰も記入しなくなったことがありました。順序を取り違えていた側の課題だったと、いまは振り返っています。
様式は、目的とものさしが決まったあとなら30分で選べます。逆に目的が空白のままだと、どんなに立派な様式でも空欄が埋まりません。まずはこの3つの関係から整理させてください。
まず結論|目的・ものさし・伝え方の順に決めていきます
制度づくりでつまずくのは、多くの場合、真ん中の「ものさし」から手をつけたときです。評価項目を先に並べると、何のための項目なのかが説明できなくなります。
順序はこうなります。はじめに何のための評価かを決めること。次に、その目的に照らして測るものさしを選ぶこと。最後に、どんな場でどう伝えるかを決めること。この3つがそろって、はじめて制度として動き出します。
目的が決まっていれば、項目は自然と絞られていきます。逆に目的が曖昧なままだと、項目はどこまでも増えていくもの。「あれも見たい、これも見たい」が積み重なり、記入だけで半日かかる様式ができあがります。
人が育つ環境そのものについては、中小企業で人が育つ環境のつくり方でも触れています。制度は、その環境を支える骨組みのひとつだと私たちは捉えています。
給与を決める道具と、人を育てる道具は分けて置いておく
評価制度には、大きく2つの役割があります。ひとつは処遇を決めるための役割。もうひとつは、育成の方向を示すための役割です。
この2つを1枚の様式に詰め込むと、面談の場が窮屈になります。「今期の点数は3点でした」という話と、「来期はここを伸ばしていきましょう」という話。前者が出た瞬間、後者は耳に入りにくくなるからです。
分けるといっても、様式を2種類作るという意味ではありません。同じ様式でも、処遇に反映する項目と、育成の話題として扱う項目を分けて書いておく。それだけで、面談の空気がずいぶん変わります。
私たち編集部も、以前は「全部まとめて年1回」という形で回していた時期がありました。振り返ると、社員の側は点数の話しか覚えていなかったところ。育成の話は、別の時間に置いたほうが届くという実感があります。
2つの役割の違いを、対比で整理しました。
制度が形だけで終わるとき、抜けているのは目的でした
形骸化した制度には、共通した特徴があります。項目が多く、評価者ごとに解釈が違い、結果が何にも使われていない。この3つです。
もとをたどると、いずれも目的の不在に行き着きます。何のために測るのかが決まっていないから、項目を削る基準がない。基準がないから、評価者ごとに重みづけが変わる。変わるから、結果を処遇にも育成にも使いにくくなるという流れです。
目的は、難しい言葉である必要はありません。「お客様に向き合う姿勢を大切にする会社でありたい」。この一文でも、十分に出発点になります。そこから「では、その姿勢はどんな行動に表れるだろうか」と降ろしていく。この降ろす作業が、そのままものさしづくりです。
中小企業の40.6%が「設けている」|30名以下では25.1%という現在地
人事評価制度を設けている事業者は全体で40.6%。従業員30名以下では25.1%まで下がります。制度がないほうが多数派という現在地です。
この数字を知って、少し肩の力が抜ける方もいらっしゃるのではないでしょうか。冒頭で触れた2025年版中小企業白書の調査には、設けていない理由も規模別に載っていました。まずは自社がどのあたりに立っているのかを確かめるところから始めたいと思います。
数字を見る目的は、他社と比べて焦るためではありません。自社がどの段階にいるかが分かると、いま作るのか、もう少し先でよいのかを落ち着いて選べます。3つの角度で見ていきます。
従業員規模で分かれる導入率|30名を超えると過半数に届きます
同白書の第2-1-58図によれば、「設けている」と回答した事業者は全体で40.6%。「設けていない」が59.4%でした。この調査の有効回答は20,982者です。
規模別に並べると、景色がはっきりします。同じ調査のデータでは30名以下が25.1%、30名超50名以下が52.6%。さらに50名超100名以下が68.1%、100名超が78.9%でした。30名を境に、過半数へ届く形になっていました。
白書はこの傾向をこう説明しています。従業員が増えるほど、経営者が全員の実績や勤務態度を詳しく把握しにくくなる。だから制度化が進む、という読み解きです。人数と制度化は、素直に連動しているという読み方です。
規模別の導入率を、表に整理しました。
| 従業員規模 | 「設けている」割合 | 出典 |
|---|---|---|
| 全体 | 40.6% | 2025年版中小企業白書 |
| 30名以下 | 25.1% | 同白書 第2-1-58図 |
| 30名超50名以下 | 52.6% | 同白書 第2-1-58図 |
| 50名超100名以下 | 68.1% | 同白書 第2-1-58図 |
| 100名超 | 78.9% | 同白書 第2-1-58図 |
出典:中小企業庁「2025年版中小企業白書」第2-1-58図(資料:帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」)
設けていない理由の1位は「経営者が全従業員の状況を把握している」
制度を設けていない事業者に理由を尋ねた結果が、同白書の第2-1-60図に載っています。いずれの規模でも最も多かったのは「経営者が全従業員の状況を把握している」でした。
同じ調査のデータでは、従業員30名以下で56.6%、30名超100名以下で45.1%、100名超で29.2%。規模が大きくなるほど下がっていきます。次に多い「制度の運用が困難」は逆の動きでした。同白書の集計では5.6%、13.7%、19.0%。規模が大きいほど上がります。
そのほかの理由も、同じ統計から並べておきます。同じ統計で「評価する風土がない」は8.4%から10.6%。「評価を給与や昇格等に反映できない」は4.4%から9.5%。「制度設計の方法が分からない」は5.8%から7.9%でした。いずれも規模が大きい層ほど高い数値でした。
つまり、小さな会社が制度を持たない理由は「作れないから」ではありません。「いまは要らないから」が中心だという読み方ができます。ここは押さえておきたいところ。
把握できているうちは要らない、が通じなくなる境目
社長が全員の顔と仕事ぶりを思い浮かべられる。その状態なら、社長ご自身の観察がいちばん精度の高いものさしです。無理に制度を入れる必要はないという考え方もあります。
問題は、その境目が静かに訪れることでしょう。人数が増えたときだけではありません。拠点が分かれたとき、勤務時間帯がずれたとき、間に管理職が入ったとき。同白書のデータで30名超から導入率が跳ね上がるのも、この重なりを映しているように見えます。
境目のサインは、たとえばこんな場面です。「あの人、最近どう?」と管理職に尋ねる回数が増えた。昇給の根拠を自分の言葉で説明しにくくなった。社員から「評価の基準が分からない」と言われた。ひとつでも心当たりがあれば、準備を始める頃合いではないでしょうか。
評価制度がある会社は、採用した人が残っている割合が高い
同じ白書では、制度の有無と定着状況の関係も示されていました。定着率7割以上の割合は、制度を設けている事業者のほうが高くなっています。
因果までは言い切れないと白書自身も断っている点は、先にお伝えしておきます。それでも、向きははっきりしていました。特に人数が増えた会社ほど差が開いている点に、私たちは目を留めています。
定着は、採用にかけた時間とお金がそのまま残るかどうかの話でもあります。せっかく来てくれた方が数か月で去っていく痛みは、経営者なら誰しも味わったことがあるのではないでしょうか。2つの規模帯で数字を並べます。
30名超100名以下では53.0%と47.7%|定着率7割以上の割合
同白書の第2-1-59図は、直近3年間で採用した従業員の定着割合を、制度の有無別に集計したものです。この調査で従業員数30名超100名以下を見ます。定着率7割以上と答えたのは設けている側53.0%、設けていない側47.7%でした。
同じ調査のデータでは、逆側も見えます。定着率3割未満と答えた割合は、設けている側が8.6%、設けていない側が13.3%。低いほうの層で差が開く形です。
5.3ポイントという差を大きいと見るか小さいと見るかは、分かれるところでしょう。ただ、上位と下位で向きがそろっている点は、単なるばらつきとは言いにくいように感じています。
100名超では49.1%と35.1%|差が14.0ポイントに広がります
規模を上げると、差はさらに開きます。同白書の集計によれば、従業員数100名超では定着率7割以上が、設けている側で49.1%、設けていない側で35.1%でした。
差は14.0ポイント。定着率3割未満のほうも、設けている側7.5%に対して設けていない側11.9%と開いています。同白書の記述も「定着率『7割以上』に着目すると従業員規模が大きいほど、導入有無により差が拡大している」というものでした。
離職や定着の数字を自社で確かめる手順は、規模別データで自社の離職率を見る手順にまとめています。制度の話に入る前に、いまの定着率を出しておくと、議論の土台が定まります。
効いているのは制度そのものより、納得の積み重ねではないか
白書は、明確・公正な評価により従業員の評価に対する納得感が高まることが定着につながっている、という見立てを示しています。断定はしていません。
私たちも、同じように受け止めています。制度があるから人が残るのではなく、評価の理由を言葉にする習慣が会社に根づいているから残る。制度は、その習慣を続けるための仕掛けにすぎないという捉え方です。
実際、様式が簡素でも定着している会社はあります。逆に、精緻な制度を入れても、面談が5分で終わる会社では長続きしません。差を生んでいるのは紙の完成度ではなく、伝える時間をどれだけ確保しているかではないでしょうか。
納得が生まれるものさしの決め方|評価項目を3つの層に分ける
ものさしは、成果・行動・姿勢の3つの層に分けると組み立てやすくなります。数字で測れるものと、そうでないものを混ぜないためです。
とはいえ、ゼロから項目を書き起こすのは骨の折れる作業。厚生労働省が業種別に整理して無料で公開している資料があり、下敷きとして使えます。
大事なのは、項目の多さではなく分け方です。同じ「頑張っている」でも、数字に出たのか、行動として続いたのか、日々の姿勢に表れたのかで、返す言葉が変わります。下敷きの選び方と、自社の言葉に置き換える手順を見ていきます。
成果・行動・姿勢|数字で測れないものをどこに置くか
3つの層は、測り方が違います。成果は数字で測れるもの。行動は、その成果に至る過程で「やったかどうか」が確認できるもの。姿勢は、日々の関わり方に表れるものです。
混ぜてしまうと、評価される側が納得しにくくなります。売上が届かなかった期に、行動も姿勢もまとめて低く付けられると、何を直せばよいのかが分からないからです。層を分けておけば「成果は届かなかったが、行動は積み上がっていた」という評価ができます。
配分の目安を挙げると、成果4割・行動4割・姿勢2割あたりから始める会社が多いところ。職種によって変えて構いません。営業職は成果を厚く、内勤は行動を厚く、といった調整で十分です。
厚生労働省の職業能力評価基準は56業種|無料で下敷きにできます
項目づくりで手が止まったときに使えるのが、厚生労働省の職業能力評価基準です。仕事に必要な「知識」と「技術・技能」に加えて、成果につながる職務行動例を業種別・職種別に整理した公的資料です。
同省の公式ページによれば、56業種について策定されています。あわせて「キャリアマップ、職業能力評価シート及び導入・活用マニュアル」も16業種分あります。登録も申請もなく、無料でダウンロードできます。
使い方としては、そのまま導入するというより、自社に近い業種の項目を眺めて削っていく形が現実的です。「これはうちにも要る」「これは要らない」と選り分ける。削る作業そのものが、自社のものさしを言葉にする時間になります。
自社の言葉に直す|理念とつながる項目を1つだけ入れてみる
公的資料の言葉は、どうしても一般的な表現になります。そのまま配ると「うちの会社の話に聞こえない」という反応が返ってきがちです。
おすすめしたいのは、自社の理念や大事にしていることから、項目を1つだけ足すこと。「困っている人に先に声をかけたか」「約束した期日を守ったか」。その会社らしい一文が1つ入るだけで、様式の顔つきが変わります。
理念を言葉にする作業そのものは、お題目で終わらせない経営理念の作り方でも扱いました。理念と評価がつながっていると、面談の場で「なぜこの項目があるのか」を説明しやすくなるところ。ここが借り物の制度との分かれ目だと感じています。
中小企業が納得を育てる5つの土台
ここからは、明日から順に置いていける形に分けます。すべてを一度に整える必要はありません。1つずつで十分です。
人手の限られた会社ほど、制度づくりが「いつかやること」になりやすいのは、私たちも身に覚えがあります。
5つのうち、紙とペンだけで進むものが2つ、人が集まる時間が要るものが2つ、文書化が要るものが1つ。所要の感覚を添えておきますので、ご自身の会社でどこまでできているか、確かめながら読んでいただけたら幸いです。順番を入れ替えても構いません。
①何のための評価かを一枚に書く|目的が決まると項目が決まります
最初の一歩は、紙一枚です。「この会社では、何を大事にしている人を高く評価するのか」。この問いへの答えを、3行ほどで書き出してみてください。
書けたら、社内の誰か一人に読んでもらう。「これ、うちの会社らしいですか」と尋ねるだけで十分です。読んだ人の顔が曇るようなら、まだ言葉が借り物という合図。
所要は30分ほど。会議室を押さえる必要もありません。この一枚が、あとで項目を削るときの基準になります。「この項目は、さっきの3行とつながっているか」と照らすだけで、迷いがぐっと減るからです。ここで時間をかけた分、あとの作業が速くなります。
②評価項目は5〜7個に絞る|多いほど形だけになりやすいもの
項目数に公的な正解はありません。ただ、私たちが見聞きしてきた範囲では、5〜7個に収まっている会社ほど運用が続いています。
20を超えると、評価する側が全項目を覚えていられなくなります。結果として、最初の数項目だけ丁寧に付けて、あとは印象で埋める形に。それなら、はじめから絞っておいたほうが誠実ではないでしょうか。
絞り方はこうです。成果・行動・姿勢の3つの層から2つずつ選び、そこに理念とつながる一文を足す。合計7つ。多いと感じたら、姿勢の層を1つ減らして6つでも構いません。足りない項目は、1年運用してから足していけます。
③評価する人のものさしを合わせる時間を、先に取っておく
評価者が複数いる会社で必ず起きるのが、甘辛の差です。原因の多くは、管理職の性格ではなく、ものさしの解釈が揃っていないところにあります。
対処はそれほど大がかりではありません。評価を始める前に、評価者が集まって同じ架空の事例を採点してみる。1時間ほどでも、ずれの大きさが目に見えます。
「この行動を3点と見るか4点と見るか」を口に出して擦り合わせる。答えを1つに決める必要はなく、幅を知るだけで十分です。「うちは厳しめに付ける人と甘めに付ける人がいる」と分かっていれば、最終調整のときに説明できます。この時間が、後の説明のしやすさに直結します。
④伝える場を先に決める|期首と期末の2回から始められます
評価の納得は、点数ではなく伝え方で決まる部分が大きいところです。期首に「今期はここを見ます」と伝え、期末に「ここがこうでした」と返す。この2回があるだけで、受け止め方がまったく違います。
期首を飛ばして期末だけ実施すると、後出しの印象が残ります。社員の側からすれば、知らされていない基準で採点されたことになるからです。時間は1人30分でも構いません。回数と順序のほうが効きます。
社員の意欲そのものについては、社員のモチベーションが上がらない原因と対策にも整理しました。評価の場は、意欲を左右する数少ない接点のひとつです。
⑤処遇への反映は、決めた範囲だけを先に約束しておく
反映の幅を決めないまま運用を始めると、評価される側の関心が点数だけに集まります。育成の話ができなくなるという副作用も出てきます。
現実的なのは、賞与の一部など、範囲を限って先に約束しておく形。「評価結果は賞与の◯割部分に反映します」と、制度を配る前に文書で示しておく。範囲が見えていれば、社員は過度な期待も過度な警戒もしなくて済みます。
なお、賃金規程や就業規則に関わる部分は、社会保険労務士など専門家にご確認いただくと安心です。制度の設計と、労務上の手続きは別の話として進めていかれるとよいと考えています。
5つの土台を、着手の順に並べました。
湯島の朝で、私たちが実際に話していること
制度が整うことと、評価された社員が納得することは、残念ながら別の話です。最後は、伝える人の姿勢に返ってきます。
湯島倫理法人会のモーニングセミナーでも、評価の場面でうまく伝えられなかったという話が出ることがあります。私たち編集部も答えを持っているわけではありませんが、朝の時間に交わされている言葉を、少しだけ分けていただければと思います。
ここから先は統計の話ではなく、経営者同士の実感の話です。制度の設計図には書かれない部分ほど、実際の面談では効いてくるように感じています。
評価される側より先に、評価する側が試されている
面談で気まずくなるのは、多くの場合、日ごろ見ていなかった期間を埋めようとするときです。半年分をその場で思い出そうとすると、どうしても直近の印象に引っ張られます。
ある経営者の方が話しておられたのは、手帳の隅に一行だけメモを残す習慣でした。「今日、◯◯さんがお客様の電話を代わってくれた」。その程度で構わないそうです。半年後の面談で、その一行が効いてくる。評価する側の準備が、納得の土台になっているという話でした。
明朗(ほがらか)に伝えられる評価は、日ごろの関係の上に立つ
倫理法人会では「明朗(ほがらか)」という言葉をよく使います。マイナスの感情にとらわれない明るさ、という意味合いです。評価の場面にも、この言葉は届いてくるところがあります。
厳しい内容を伝えるときほど、明朗さが要ります。とはいえ、面談の日だけ明るく振る舞っても、相手には伝わりません。日ごろの挨拶や声かけの積み重ねの上に、ようやく厳しい話が乗る。評価は制度ではなく関係の上に立つ、というのが朝の場でよく出てくる話です。
私たちも、できている側として書いているわけではありません。うまく伝えられなかった経験を持ち寄って、次はどうするかを考えている。そんな時間です。
月曜の朝7:00|ゲスト参加は無料でお待ちしております
湯島倫理法人会のモーニングセミナーは、毎週月曜日の朝7:00から8:00まで。会場は全国家電会館1階(東京都文京区湯島3-6-1)です。6:30からは開会前の朝礼があり、終了後は8:40頃まで朝食会の時間をとっています。
東京メトロ千代田線「湯島駅」から徒歩2分、JR「御徒町駅」から徒歩8分。ゲスト参加は無料で、初めての方も会員と同じようにご参加いただけます。
社員の評価に悩んだ経験は、経営者同士だからこそ話しやすいものです。うまくいかなかった話も含めて分かち合う朝の時間に関心を持たれた方は、ぜひ一度ゲスト参加してみませんか。私たちも学びの途中ですので、ご一緒に歩んでいけたら嬉しく存じます。
この記事のまとめ|人事評価制度の作り方で押さえておきたいこと
人事評価制度の作り方は、目的・ものさし・伝え方の順に決めていく作業です。様式選びから始めないことが、形骸化を避ける近道になります。
ここまで、順序の決め方、中小企業の導入状況、定着との関係を見てきました。ものさしの3層構造と、納得を育てる5つの土台もご一緒にたどったところです。最後に、持ち帰っていただきたい要点を短くまとめます。
制度を設けている事業者は全体で40.6%、従業員30名以下では25.1%。同白書のデータでは、ないほうが多数派でした。設けていない理由の最多は「経営者が全従業員の状況を把握している」で、30名以下では56.6%。まだ要らない、という判断も十分に成り立ちます。
一方、同じ白書の調査では定着率7割以上の割合に開きが出ていました。100名超で設けている側49.1%、設けていない側35.1%。差は14.0ポイントです。目が届く範囲を超えたときに慌てて作ると借り物になりがちなので、人数が増える前に言葉にしておくと後が楽になります。
ものさしは成果・行動・姿勢の3層に分け、項目は5〜7個に絞る。厚生労働省の職業能力評価基準は56業種分が無料で公開されており、下敷きとして使えます。そのうえで、理念とつながる項目を1つだけ自社の言葉で足してみてください。
土台は5つ。目的を一枚に書く、項目を絞る、評価者のものさしを合わせる、伝える場を期首と期末に置く、処遇への反映範囲を先に約束する。すべてを一度に整える必要はありません。今日は紙一枚から、明日は評価者との1時間から。ご自身の会社のペースで進めていかれたら幸いです。
よくあるご質問
従業員が10人ほどの会社にも、人事評価制度は必要でしょうか。
必ず要るものだとは、私たちも捉えていません。2025年版中小企業白書の調査では、従業員30名以下で人事評価制度を設けている事業者は25.1%。設けていない理由の最多も「経営者が全従業員の状況を把握している」で56.6%でした。
目が届いているうちは、社長ご自身の観察がいちばん精度の高いものさしという見方もできます。ただ、その範囲を超えたときに慌てて作ると、どうしても借り物になりがち。人数が増える前に「何を大事にしている会社なのか」を言葉にしておくと、後から制度へ落としやすくなります。
評価項目はいくつくらいが目安でしょうか。
公的な基準として決まった数があるわけではありません。ただ、私たちが見聞きしてきた範囲では、5〜7個あたりに収まっている会社ほど運用が続いています。
項目が20を超えると、評価する側が全項目を思い出せなくなり、結果として印象で埋める形になりがちです。成果・行動・姿勢の3つの層から2つずつ選ぶ、といった決め方でも十分に始められます。足りない項目は運用しながら足していく。最初から完成形を目指さないほうが、かえって長く続くように感じています。
評価の結果を、給与にどこまで反映すればよいでしょうか。
「こうすべき」という答えを私たちが申し上げられる立場ではありませんが、順序として言えることはあります。反映の幅を決めないまま運用を始めると、評価される側の関心が点数だけに集まり、育成の話ができなくなりがちです。
まずは賞与の一部など、決めた範囲だけを先に約束しておく形から始める会社が多いところ。反映の幅と決め方を、制度を配る前に文書で示しておくと、あとの説明がずいぶん楽になります。就業規則や賃金規程に関わる部分は、社会保険労務士など専門家にご確認いただくのが安心です。
評価する管理職によって、甘辛の差が出てしまいます。
どの会社でも起きることだと受け止めています。差が出る原因の多くは、管理職の性格ではなく、ものさしの解釈が揃っていないところにありました。
評価を始める前に、評価者が集まって同じ架空の事例を採点してみる時間を取ると、ずれの大きさが目に見えます。1時間ほどでも効果が出ます。加えて、評価の理由を一言だけ書き添える欄を作っておくと、後から見比べたときに基準の違いが分かるもの。完全に揃えることより、ずれに気づける形にしておくほうが現実的ではないでしょうか。
評価項目をゼロから作るのが大変です。参考になる資料はありますか。
厚生労働省の「職業能力評価基準」が使えます。仕事に必要な知識・技術技能に加えて、成果につながる職務行動例を業種別・職種別に整理した公的資料です。同省によれば56業種について策定されています。
あわせて「キャリアマップ、職業能力評価シート及び導入・活用マニュアル」が16業種分公開されています。登録も申請もなく、無料でダウンロードできます。そのまま使うというより、自社に近い業種の項目を眺めて「これはうちにも要る」「これは要らない」と削っていく使い方が現実的です。削る作業そのものが、自社のものさしを言葉にする時間になります。
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