講話の朝、クローゼットにワイシャツが1枚もない。そのとき、あなたは誰を責めるでしょうか──

2026年10月12日、祝日の朝に開いた第1132回の湯島倫理法人会モーニングセミナーに、深川倫理法人会の及川祐介氏と及川陽子氏をお迎えしました。湯島での講話は3年ぶり3回目。テーマは「夫の倫理/妻の倫理」です。倫理法人会で出会い、学ぶ者同士で結婚する「倫理婚」をした二人は、日々のすれ違いをどう受け止めているのでしょうか。

講師席で出番を待つ及川祐介氏と及川陽子氏
講師席で出番を待つ及川祐介氏と及川陽子氏

父に涙で詫びた翌月、結婚が決まった

先にマイクを握ったのは、夫の及川祐介氏です。30代の後半まで職を転々とし、仕事も人間関係も思うようにいかず、自分に失望していたと振り返ります。そんなとき、父から家業の株式会社及川健康管理士事務所に誘われ、同時に後継者倫理塾への入塾を勧められました。

昭和の体育会系で育った父に、祐介氏は長く反発していました。倫理を学ぶなかで親の大切さに気づき、父の前で涙を流して詫びたといいます。そこから人生が動き始めました。その翌月、突然の結婚が決まります。出会ってから78日目のことでした。

親との縦のつながりが整うと、夫婦という横のつながりも生まれる。自身の結婚を、祐介氏はそう語ります。このとき祐介氏は39歳、陽子氏は41歳でした。その後、深川倫理法人会の会長は父、陽子氏、祐介氏と、およそ7年にわたって親子と夫婦で受け継がれました。

笑顔で語る及川祐介氏
笑顔で語る及川祐介氏

ワイシャツが1枚もない朝、どう考えるか

この日配られたレジュメには、『純粋倫理入門』から引いた「夫の倫理」「妻の倫理」の要諦が記されていました。夫の側には「妻の心中をよく聴いてあげる」「妻あってのわが命と感謝の念を深める」といった項目が並びます。とはいえ、夫婦は考え方のまったく違う二人です。正しいと思う基準が違えば、相手の言動が目につき、心が曇る場面は避けられません。

この日の講話レジュメ(PDF・A4 1枚)

「夫の倫理/妻の倫理」講話レジュメ

ダウンロード

祐介氏は、ワイシャツの洗濯も自分でこなすタイプです。それでも講話のある朝、着られるワイシャツが1枚もないことがありました。倫理を学んでいなければ、「今日は講話だと言っただろう」と妻を責めていたかもしれません。けれど妻も働いており、家事を任せきりにしているわけではありません。

「人を責める前に、自分が洗っておけばいいんじゃないか」

祐介氏は洗濯機から前日のワイシャツを引っ張り出し、明るい顔で家を出たそうです。

楽しみに冷やしておいたお菓子を、人を喜ばせるのが好きな妻が周りの方にあげてしまったときも同じです。周りの方が喜んでくれたなら、それでいい。妻が食べたのなら、妻の喜びは自分の喜びになる。そう考えれば、「それは嬉しいじゃないか」と思えるのだといいます。

「自分が変わるしかない」

日々の小さな受け止め方を積み重ねることが、けんかをしない夫婦をつくると祐介氏は語りました。

もし自分が同じ朝を迎えたら、最初に口から出るのはどんな言葉でしょうか。

芸の道から、会長挨拶での結婚宣言へ

及川祐介氏の講話を見守る及川陽子氏
及川祐介氏の講話を見守る及川陽子氏

続いて登壇した及川陽子氏は、夫の話を聞いて「なんて幸せな妻なんだろう」と笑顔を見せました。

陽子氏は20代で日本舞踊と茶道に入門し、アルバイトを重ねながら芸の道に打ち込んできました。目の前のことが楽しく、結婚はいつしか遠のいていったといいます。

30歳で倫理に出会い、「人生とは何か」「幸せとは何か」を考えるようになりました。独身の自分にできるのは、まず両親とつながり、親孝行をすること。そう決めて実践を重ねるなかで、何人もの先輩からかけられたのが、「最大の親孝行は、結婚することだよ」という言葉でした。

深川倫理法人会の会長になった陽子氏は、会長挨拶で結婚を宣言するようになります。会長2年目、塾生として入ってきたのが祐介氏でした。お互いのことはほとんど知りませんでしたが、陽子氏は祐介氏の父を先に知っていました。「素晴らしいお父様だから、間違いない」。そう思えたそうです。

眠い夜に割れた、3枚のお皿

結婚した当初、陽子氏は「夫の倫理/妻の倫理」のプリントを肝に銘じ、緊張感のなかで新婚生活を送りました。そのなかで決めたのが、家のことを手抜きしてまで外に出かけないという線引きです。

「家に帰ってきて、家のことをする余力を持って出かける」

夫が「家で一緒に食事ができるのが一番幸せ」とぽろっと口にしてからは、なるべく夜は家にいるようにしています。

お皿を流しに残したまま寝ないことも続けてきました。ある夜、まぶたが半分閉じかけたまま洗っていると、手が滑ってカチャンと音がしました。3枚のお皿が割れていたのです。もっと余裕を持ち、喜んで進んでできる自分になれたら、もう一歩進める。陽子氏にとって大切な気づきになりました。

今は物の置き場所を決め、家事を「余力」でこなせるようにしています。朝と夜には「ありがとう」と「ごめんなさい」を素直に伝えます。気持ちが沈む時期にも、夫は「元気でいてほしい」と声をかけ、変わらず優しく接してくれたといいます。

笑顔で語る及川陽子氏
笑顔で語る及川陽子氏

陽子氏が読み上げたのは、『万人幸福の栞』48ページの一節です。

「夫婦が互いに相手を直したいと思うのは逆さである。ただ自分を磨けばよい。己を正せばよい。その時、相手は必ず自然に改まる」

相手が変わらないと感じるうちは、まだ自分が変わりきれていない。陽子氏はそう受け止め、一つひとつの実践を続けています。誰しも、身近な相手ほどつい直したくなるものではないでしょうか。

まとめ──共に学び、実践する一歩を

深川倫理法人会の及川祐介氏と及川陽子氏の講話は、特別な夫婦の物語ではありませんでした。目の前で起きることは、倫理を学んでいてもいなくても変わらない。違いは、それをどう受け止め、自分の心を明るく保つかにあるのだと、二人の実践から学ばせていただきました。

ワイシャツの朝も、割れたお皿の夜も、自分を磨く機会にできる。私たちも、身近な一つから続けていきます。

湯島倫理法人会のモーニングセミナーは、毎週月曜朝7時から全国家電会館で開いています。祝日も開催していますので、どなたでもゲスト参加でお越しください。

「夫婦は、自分を鍛える一番の道場」

この日のモーニングセミナー

講師プロフィール

及川 祐介(おいかわ ゆうすけ)
株式会社及川健康管理士事務所 専務取締役/深川倫理法人会 法人レクチャラー/東京都倫理法人会 後継者倫理塾委員会 委員長

立教大学経済学部経済学科卒業。父が経営する株式会社及川健康管理士事務所で、企業の従業員の心と身体の健康を守る「健康経営」の支援に携わる。産業医や保健師などの専門家で構成する医療チームとともに、生活習慣病の改善を中心とした「一次予防」に取り組んでいる。2020年、深川倫理法人会会長(当時)の及川陽子と倫理婚。

及川 陽子(おいかわ ようこ)
和文化研究会 代表/深川倫理法人会 相談役

1978年生まれ、埼玉県出身。中央大学法学部卒業。女優だった祖母(SKD)と母(日活)の影響を受け、在学中に役者を志す。5年間の舞台経験を経て日本舞踊と茶道に魅了され、日本舞踊師範、茶道教授の免状を取得した。2010年に和文化研究会を設立。「日本の美を世界に未来に!〜文化でつながる世界の和〜」をモットーに、10年間で10か国30か所以上で日本舞踊・茶道・着付の指導と披露を行う。教室運営のほか、イベントの企画・出演、高齢者施設や被災地への慰問ボランティア、国際交流活動など、和文化の普及に取り組んでいる。公益社団法人日本舞踊協会、公益財団法人大日本茶道学会所属。

次回の湯島モーニングセミナーへ、ゲスト参加してみませんか

湯島倫理法人会は文京区湯島3-6-1 全国家電会館1階で、毎週月曜日 朝7:00からモーニングセミナーを開催しています。初めての方もゲスト参加(無料)でお越しいただけます。朝が難しい方は9:30から始まる「湯島つながりラボ」、平日の夜は Zoom で開く「ゆしラボオンライン」もあります。

関連記事

  • 関連記事
  • おすすめ記事
  • 特集記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

TOP