親から会社を引き継ぐとき、いちばん心を痛めたのは税金や手続きではなく、兄弟との関係だった——。そんな声を伺うことは少なくありません。家族だからこそ本音を言いにくく、気づけば職場の空気まで重くなっている。同じような悩みを胸にしまったまま、日々の経営に向き合っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、トラブルが起きやすい場面と、対立した兄弟が再び手を取り合った実例をご紹介します。5つの視点、仕組みの備え、相談先までご一緒に考えていきます。同じ悩みを抱える方にとって、小さな一歩のきっかけになれば嬉しく思います。
事業承継の兄弟トラブルは、多くの同族企業が静かに抱える悩みです
事業承継の兄弟トラブルは、決して特別な家だけの問題ではありません。親族内で会社を引き継ぐ形は今も社長交代の約3分の1を占めており、兄弟姉妹が同じ会社で働くケースも珍しくないからです。まずは、この悩みがどれほど身近なのかを確かめておきます。
帝国データバンクの2025年調査で、社長交代の就任経緯を見てみます。内部昇格が36.1%、同族承継が32.3%でした。「脱ファミリー」の流れが進む一方、3社に1社は親族へのバトンタッチです。後継者候補の属性でも「子ども」が29.7%、「親族」が24.6%を占めています(同調査)。
国内企業全体の数字として、社長交代の就任経緯を表にまとめました。
| 就任経緯 | 割合(2025年) | 出典 |
|---|---|---|
| 内部昇格 | 36.1% | 帝国データバンク(2025年11月) |
| 同族承継 | 32.3% | 帝国データバンク(2025年11月) |
| M&Aほか | 20.6% | 帝国データバンク(2025年11月) |
| 外部招聘 | 7.6% | 帝国データバンク(2025年11月) |
数字の上では「3社に1社」ですが、その一社一社に、親子や兄弟それぞれの思いが重なっているはずです。
家族であり、同僚でもある——兄弟経営ならではの難しさ
兄弟経営の難しさは、「家族の関係」と「仕事の関係」が一つに重なっている点にあります。職場で意見がぶつかれば、その空気は家に帰っても続きます。反対に、幼いころの力関係や親への思いが、会議の場に持ち込まれることも珍しくありません。
幼いころの力関係
親への思い
影響しやすい
報酬・担当
意思決定の順序
他人どうしであれば、役職や契約で割り切れる部分もあります。けれども兄弟の場合は「兄なのに」「弟のくせに」といった感情が、どうしても判断に影を落としがちです。家族だから分かり合えるはずという期待が、かえって話し合いを遠ざけてしまう。そんな場面を、私たち編集部も身近な経営者の方々の話から見聞きしてきました。
湯島の会でも、家業を継いだ方、兄弟で会社を支える方にお会いする機会があります。皆さん口をそろえるのは、「一番難しいのは、身内との距離感だった」という実感です。
こじれた関係は、社員や取引先にも伝わってしまいがちです
兄弟間のわだかまりは、当人たちが思う以上に周囲へ伝わります。役員どうしが口をきかない、会議で互いの提案を否定し合う。そうした様子を、社員は驚くほど敏感に感じ取るものです。
やがて「どちらの指示に従えばいいのか分からない」という戸惑いが生まれ、職場の雰囲気は少しずつ沈んでいきます。取引先や金融機関が経営の先行きに不安を覚えるきっかけにもなりかねません。兄弟の問題は家族の問題であると同時に、会社全体の問題でもあるのです。
兄弟トラブルが起きやすい4つの場面
兄弟間の対立は、ある日突然生まれるのではなく、承継のいくつかの節目で表に出てきます。代表的なのは「後継者の指名」「自社株と相続」「役割と処遇」「先代の意思の伝わり方」の4つです。どこで起きやすいかを知っておくだけでも、先回りして手を打つ余地が生まれます。
4つの場面は、それぞれ独立しているようで、実は一つがこじれると、ほかにも連鎖しやすいのが特徴です。
後継者の指名:「なぜ自分ではないのか」という思い
最も感情がぶつかりやすいのが、後継者を指名する瞬間です。家族の中に「長男が継ぐもの」という暗黙の前提があったとします。そこで弟や妹が指名されれば、兄の側には大きな戸惑いが生まれるものです。
指名された側にも、実は複雑な思いがあります。兄を差し置いて自分が選ばれたことへの遠慮や、周囲からどう見られるかという不安です。どちらが悪いわけでもないのに、互いに言葉を飲み込み、距離が開いていくことも少なくありません。
自社株と相続:経営権と財産の分け方が一致しないとき
会社の株式、つまり自社株は、経営権であると同時に相続財産でもあります。後継者に株を集中させたい一方で、ほかの兄弟にも公平に財産を分けたい。この二つの願いがぶつかるところに、相続の火種が生まれます。
ここで知っておきたいのが「遺留分(いりゅうぶん)」です。遺留分とは、一定の相続人に法律で保障された最低限の取り分のことです。例えば、父が株式のほとんどを弟に生前贈与していたとします。この場合、兄は遺留分の侵害を理由に、弟へ金銭の支払いを求めることが認められています。
役割と処遇:肩書・報酬・担当が曖昧なまま走り出したとき
承継の方針は決まったものの、兄弟それぞれの役割や報酬が曖昧なまま新体制が始まるケースもあります。「兄は何を任されているのか」「最終決定はどちらか」が曖昧なままだと、小さな行き違いが積み重なっていくものです。
役割が曖昧なことは、選ばれなかった側の「居場所のなさ」にもつながります。自分がこの会社で必要とされているのかどうか。その不安が、やる気の低下や態度の変化として表に出てくることもあるでしょう。
先代の意思:親の考えが兄弟それぞれに違って伝わっているとき
意外と見落とされがちなのが、先代の考えが兄弟それぞれに違う形で伝わっているケースです。父は兄には「お前が頼りだ」と言い、弟には「会社はお前に任せたい」と話していた。そんな食い違いが、後になって表面化するケースです。
先代の側に悪気はなく、それぞれを励ますつもりだったのでしょう。それでも、言葉の受け取り方が違えば、兄弟はそれぞれ「自分こそが託された」と信じて譲れなくなってしまう。先代の意思を、兄弟そろった場で言葉にしてもらうこと。その大切さが、ここから見えてきます。
後継指名から兄弟が対立し、再び手を取り合ったある経営者の話
兄弟の確執は、どちらか一方の歩み寄りをきっかけに、少しずつほどけていくものです。倫理研究所発行の『今週の倫理』1509号(2026年9月26日〜10月2日号)に、そんな経営者の話が載っていました。ここでは要点をかいつまんでご紹介します。
※以下は編集部による要約です。出典:一般社団法人倫理研究所 法人局『今週の倫理』1509号「相手を責めず自ら変わり 兄弟で会社を立て直す」
出典:一般社団法人倫理研究所 法人局『今週の倫理』1509号をもとに編集部が要約
時系列で追うと、関係が動き出したきっかけが「Aさん自身の決意」にあったことが見えてきます。
「次の社長はAに任せる」——長男ではない弟への後継指名
自動車の修理販売業を営むAさんの会社は、父が創業した家業です。父が社長を務め、Aさんと兄が役員として経営を支えてきました。ところが近年、父の体調が思わしくなく、代替わりを決める時期が訪れます。
ある日、父はAさんを後継者に指名しました。Aさんは長年、長男である兄が継ぐものだと考えていたため、大変驚いたそうです。それでも父から総合的に判断した結果だと説明を受け、引き受ける決意を固めました。
兄の反発と、少しずつ悪くなっていった職場の空気
一方、同じ場にいた兄は納得できず、強く反発しました。その場は父がなんとか収めたものの、兄の働き方はそれ以来はっきりと変わっていきます。修理部門を任されていた兄は現場に立つことが減り、仕事を部下に任せて早めに帰るようになりました。
その姿を見た社員の間には不満が広がり、職場の雰囲気も少しずつ悪くなっていきます。Aさんは「このままでは会社の将来に響く」と感じながらも、どう向き合えばよいのか分からず、悩み続けていたそうです。先ほどの4つの場面でいえば、「後継指名」が「役割と処遇」へ広がっていった状態です。
「会社をどうしたいのですか」という問いかけ
転機は、Aさんが所属していた倫理法人会で、講師に悩みを打ち明けたときに訪れます。講師から返ってきたのは、「Aさんは会社をどうしたいのですか」という問いでした。Aさんは「父が築いた会社を、さらに発展させたい」と答えます。
すると講師は、そのためにはまず兄との関係を良くすることだと伝えました。社長の立場は譲れなくても、兄が気持ちよく働ける環境を整えてはどうか、という助言です。Aさんはこの言葉を真剣に受け止め、兄が変わるのを待つのではなく、自分から歩み寄ろうと決めました。
自分から先に謝ったことで、兄の本音も聞けた
Aさんは兄との話し合いの場を設け、久しぶりに向き合います。そして最初に、こうした状況になったことを詫び、兄が働きやすい職場をつくっていくと伝えました。
(弟)
※発言は趣旨の要約です。出典:一般社団法人倫理研究所 法人局『今週の倫理』1509号
すると兄からも、会社の足を引っ張るようなことをしてしまったと、素直な謝罪の言葉が返ってきます。兄もまた、自分の振る舞いを振り返っていたのです。二人は固い握手を交わし、これからは会社のために力を合わせていこうと誓い合いました。
いまは社長と副社長として、地域一番の店を目指して
その後、Aさんは社長として、兄は副社長として、それぞれの職責を担っています。以前のようなわだかまりは消え、お互いの強みを生かしながら経営に取り組んでいるそうです。目標は地域一番の店。兄弟で力を合わせ、その道を歩んでいます。
Aさんがこの経験から学んだのは、相手を変えようとするのではなく、まず自分から歩み寄ることの大切さでした。事業を支えるのは立場や肩書ではなく、互いを尊重し合う心である。そう実感しているといいます。
事例から見えてくる、関係を立て直す5つの視点
Aさんの歩みからは、兄弟の確執をほどく手がかりを5つ読み取れます。先に自分が動く、目的に立ち返る、居場所を整える、先に詫びる、役割を決める、の5つです。正解というより、ご自身の状況に照らして考えるための視点としてお読みいただけたら嬉しく思います。
5つは順番に進むものでもあり、行きつ戻りつしながら重ねていくものでもあります。
視点1:相手を変えようとする前に、自分から歩み寄る
関係がこじれたとき、人はつい「相手が態度を改めるべきだ」と考えます。Aさんも、最初は兄の勤務態度に頭を悩ませていました。けれども関係が動き出したのは、兄が変わったからではなく、Aさんが自分から一歩を踏み出したときでした。
倫理法人会の学びの中でも、「自分が変われば周囲が変わる」という考え方を大切にしています。相手を責める気持ちを脇に置き、自分にできることから始めてみる。簡単なことではありませんが、最初の一歩を誰が踏み出すかで、その後の景色は大きく変わってきます。
視点2:「会社をどうしたいのか」という目的に立ち返る
兄弟の対立が長引くと、いつの間にか「どちらが正しいか」「どちらが上か」の争いになりがちです。そんなとき、Aさんが問われたのは「会社をどうしたいのか」という根本の目的でした。
父が築いた会社を発展させたい。目的を思い出したとき、兄との関係づくりは「譲歩」ではなく「近道」に見えてきたのではないでしょうか。私たち編集部も、身近な人とぶつかったときほど、何のために働いているのかを見失いやすいと感じています。目的に立ち返ることは、感情の渦から一歩抜け出すための足場になります。
視点3:譲れない立場は守りつつ、相手の居場所を整える
歩み寄るといっても、社長の座を兄に譲るわけではありません。講師の助言も「社長の立場は譲れなくても」という前提のうえで、兄が気持ちよく働ける環境を整えることでした。
立場を曖昧にすると、かえって組織の指揮系統が揺らぎます。大切なのは、決めた体制は守りながら、相手が誇りをもって働ける場所を用意すること。Aさんの会社でいえば、修理部門に強みを持つ兄が、その力を存分に発揮できる役割です。立場を守ることと、相手を尊重することは両立できる——この事例から、そんな学びを受け取りました。
視点4:正しさの主張より、先に「申し訳ない」を伝える
Aさんは話し合いの冒頭で、まず謝罪の言葉を伝えました。後継指名は父の判断であり、Aさん自身に落ち度があったわけではありません。それでも、兄にとってつらい状況になったことを詫びたのです。
どちらが悪いかを明らかにしようとすると、話し合いは言い分のぶつけ合いになりがちです。先に謝ることは負けではなく、相手が本音を話せる安心感をつくる行為だと言えます。実際に兄からも謝罪の言葉が返ってきたことは、兄もまた関係を修復したいと願っていた証ではないでしょうか。
視点5:和解のあとは、役割と肩書を明確にする
握手を交わしたあと、Aさんは社長、兄は副社長として、それぞれの職責を担う体制を整えました。気持ちの和解だけで終わらせず、役割と肩書という「形」に落とし込んだことも、関係が長続きしている理由の一つと考えられます。
役割がはっきりすれば、社員も相談先に迷わずに済みます。兄弟それぞれの強みが生きる分担は、会社にとっても大きな力になります。感情の歩み寄りと、仕組みとしての役割分担。両方がそろってこそ、兄弟経営は安定していくのでしょう。
気持ちの歩み寄りと一緒に、仕組みでも備えておく
兄弟の関係を支えるのは互いを尊重する心ですが、それだけに頼ると、次の節目でまた火種がくすぶることもあります。実務では、後継者の早期決定や自社株の集約、遺留分の特例、役割の文書化が勧められています。対立が起きにくい土台を、仕組みで整えておく考え方です。
| 火種 | 仕組みでの備え |
|---|---|
| 後継指名への不満 | 先代自身の言葉で、兄弟そろった場で理由を説明してもらう |
| 自社株と相続 | 株は後継者に集約し、ほかの兄弟には事業外の財産や保険などで配慮 |
| 遺留分の請求 | 経営承継円滑化法の民法特例(除外合意・固定合意)を検討。推定相続人全員の合意、経済産業大臣の確認、家庭裁判所の許可が必要 |
| 役割の曖昧さ | 役割・権限・報酬を職務分掌などの文書にして共有 |
出典:中小企業庁「経営承継円滑化法による支援」ほか。個別の判断は税理士・弁護士へ
どの備えが合うかは会社ごとに異なるため、専門家と相談しながら選んでいくのが安心です。
後継者を早めに決め、先代自身の言葉で理由を伝えてもらう
兄弟の不満の多くは、「なぜ自分ではないのか」が分からないところから生まれます。Aさんの父も総合的な判断だと説明していましたが、兄は納得できませんでした。理由を伝えるなら、できるだけ早い時期に、兄弟そろった場で丁寧に話してもらうのが望ましいと考えられます。
早めの準備の大切さは、中小企業庁の「事業承継ガイドライン」でも繰り返し示されるところです。後継者の確保や関係者の理解には、時間がかかるためです。準備の進め方は、事業承継の準備|経営者が早めに始めて後悔しないための順序で整理しています。
自社株は後継者に集め、ほかの兄弟にはほかの形で報いる
会社を安定して経営するには、後継者に自社株を集めておくのが一般的な考え方です。株が兄弟に分散すると、経営の意思決定のたびに合意が必要になり、対立が長引く原因になりかねないからです。
一方で、ほかの兄弟への配慮も欠かせません。事業に使っていない不動産や預貯金、生命保険などを活用し、兄弟それぞれが納得できる形を探っていく方法があります。どの財産をどう分けるかは税金の問題とも深く関わるため、税理士など専門家と一緒に検討していくのが安心です。
遺留分の民法特例という選択肢を知っておく
自社株を後継者に集めると、先ほど触れた遺留分の問題が生じることがあります。そこで知っておきたいのが、遺留分に関する民法の特例です。「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(経営承継円滑化法)」に定められています。
特例には二つの合意があります。一つは、贈与を受けた自社株を遺留分の計算から外す「除外合意」。もう一つが、株の評価額を合意時点の価額で固定する「固定合意」です。
利用するには、先代の推定相続人全員と後継者の合意に加えて、経済産業大臣の確認と家庭裁判所の許可が必要です。兄弟全員の合意が前提となるため、日頃の関係づくりがそのまま制度の使いやすさに直結する点も見逃せません。詳しくは中小企業庁「経営承継円滑化法による支援」で確認できます。
役割・権限・報酬を文書にしておく
兄弟がともに会社に残る場合は、役割・権限・報酬をできるだけ具体的に文書にしておくと安心です。誰がどの部門を担い、どこまでを決められるのか。取締役会の規程や職務分掌として形にしておけば、「言った、言わない」の行き違いを減らせます。
Aさんの会社でも、社長と副社長という肩書が決まったことで、互いの立ち位置がはっきりしました。親族経営の強みと難しさは、家族経営とは|中小企業の強みを活かし社員も育つ組織のつくり方で詳しく考えました。
こじれてしまったときに頼れる相談先
当事者どうしだけで話し合うと、どうしても感情が先に立ってしまいます。そんなときは、利害のない第三者に間に入ってもらうのも一つの方法です。知っておきたい相談先は、公的な無料窓口、税務や法律の専門家、経営者どうしで語り合える場の3つです。
状況に応じてどこに相談するとよいか、目安をフローで整理しました。
事業承継・引継ぎ支援センター(各都道府県に設置・無料)
事業承継・引継ぎ支援センターは、国が各都道府県に設置している公的な相談窓口です。親族内の承継から第三者への引き継ぎまで、事業承継にまつわる相談を無料で受け付ける窓口です。
「兄弟の関係がこじれていて、承継の話が前に進まない」といった段階でも、まずは状況を整理する場として活用できます。所在地や連絡先は事業承継・引継ぎポータルサイト(中小企業基盤整備機構)から確認できます。
税理士・弁護士などの専門家
自社株の評価や相続税、遺留分の特例などは、専門的な判断が欠かせない分野です。顧問の税理士がいれば、まずはそこから相談してみてはいかがでしょうか。法的な争いに発展しそうなときは、弁護士への早めの相談で選択肢が広がります。
専門家を交えることには、もう一つの効果があります。第三者が同席するだけで、兄弟どうしの話し合いが落ち着きやすくなることです。家族会議に専門家を招くのも、一つの工夫です。
同じ立場の経営者どうしで語り合える場
兄弟の悩みは、社内でも家庭でもなかなか本音で話せないテーマです。だからこそ、社外で静かに聴いてくれる仲間の存在が、心の支えになってくれます。経営者の孤独と相談相手については、経営者の孤独は誰に相談する?相談相手の見つけ方と心得でも取り上げました。
Aさんが悩みを打ち明けたのも、所属していた倫理法人会の場でした。湯島倫理法人会でも、毎週月曜の朝7:00からモーニングセミナーを開いています。事業承継や家族経営に向き合う経営者と語り合える時間があり、ゲスト参加は無料です。朝が難しい方には、セミナー後に開く湯島つながりラボという交流の場もあります。
兄弟の確執は、一歩の歩み寄りから少しずつほどけていく
事業承継をめぐる兄弟の確執は、どちらか一方だけが悪いという単純な話ではないことがほとんどです。だからこそ、相手が変わるのを待つより、自分にできる一歩から始めてみる。Aさんの体験は、その一歩の意味を静かに教えてくれているように感じます。
- 兄弟への感謝をひとつ、言葉にして伝える今日
- 「会社をどうしたいか」を紙に書き出す今週
- 先代の意思を兄弟そろった場で聞く機会をつくる今月
- 役割と権限を書き出して兄弟で共有する今月
- 無料の相談窓口の連絡先を調べておく今週
大きな決断の前に、まずは手の届く一歩から始めてみてはいかがでしょうか。
今日できること:兄弟への感謝をひとつ、言葉にしてみる
わだかまりがあると、相手の良いところが見えにくくなります。けれども、兄弟が会社のために積み重ねてきた仕事は、きっといくつも思い当たるはずです。現場を支えてくれたこと、先代を助けてくれたこと。その一つを、短くても言葉にして伝えてみる。
倫理法人会では「明朗(ほがらか)・愛和(なかよく)・喜働(よろこんではたらく)」という言葉が大切にされてきました。感謝をひとこと伝えることは、兄弟の間に「愛和」を取り戻す小さな実践と言えるでしょう。
今月できること:「会社をどうしたいか」を紙に書き出し、共有する
Aさんが立ち返ったように、「会社をどうしたいか」という目的を、一度紙に書き出してみてはいかがでしょうか。5年後、10年後にどんな会社でありたいか。社員やお客様に、どんな価値を届け続けたいか。
書き出した内容を兄弟で見せ合えば、立場の違いを越えて共有できる部分が見つかるはずです。目的が重なれば、役割分担の話し合いもぐっと前向きになります。事業承継の全体像は、事業承継と後継者不在|中小企業の経営者が今、静かに考えたい5つの問いもあわせてどうぞ。
私たちも、ご一緒に学んでいけたら嬉しく思います
身近な人ほど、素直に向き合うことは難しいものです。私たち編集部も、家族や仲間との関係に悩みながら、少しずつ学ばせていただいている途中です。完璧な答えを示すことはできませんが、同じように悩む仲間として、この記事が小さなきっかけになれば幸いです。
もし、同じ立場の経営者と語り合ってみたいと感じられたら、湯島倫理法人会のモーニングセミナーにゲスト参加してみませんか。皆様のご参加を、心よりお待ちしております。
よくあるご質問
兄弟のどちらを後継者にするか、親としてどう決めればよいでしょうか?
年齢や生まれ順だけでなく、経営への意欲や周囲からの信頼、それぞれの強みを総合的に見る方が多いようです。大切なのは、決めた理由を先代ご自身の言葉で、兄弟それぞれに丁寧に伝えることだと感じます。理由が伝わらないまま結論だけが伝わると、選ばれなかった側に「なぜ」という思いが残りやすくなります。
後継者にならなかった兄弟に、会社を辞めてもらうべきでしょうか?
一概には言えません。事例のAさんのように、兄が副社長として修理部門の強みを生かし、兄弟で会社を支えている形もあります。一方で、別の道を歩むほうが互いに心地よいこともあるでしょう。本人の意向を聴いたうえで、役割と処遇を話し合って決めていくことをおすすめします。
自社株を後継者に集中させると、ほかの兄弟から不満が出ませんか?
その心配はよく伺います。よく検討されるのは、自社株を後継者に集めつつ、ほかの兄弟には別の財産や生命保険で配慮する工夫です。条件が合えば、遺留分の民法特例という選択肢も考えられます。個別の事情で最適な形は変わるため、税理士や弁護士など専門家にご相談いただくのが安心です。
すでに兄弟の関係がこじれてしまっています。何から始めればよいでしょうか?
まずは、ご自身が会社をどうしていきたいのかを、改めて言葉にしてみてはいかがでしょうか。そのうえで、相手が変わるのを待つのではなく、自分から話し合いの場を設けてみる。当事者だけでは難しいと感じたら、事業承継・引継ぎ支援センターや専門家など第三者に入ってもらう方法もあります。
湯島倫理法人会では、事業承継の悩みを相談できますか?
湯島倫理法人会は、事業承継の専門機関ではありません。ただ、毎週月曜朝7:00からのモーニングセミナーや朝食会では、承継や家族経営に向き合う経営者と語り合えます。答えを教わるというより、共に学び、考える仲間が見つかる場としてご活用いただけたら嬉しく思います。ゲスト参加は無料です。
倫理経営を朝から学ぶ、湯島の経営者コミュニティへ
湯島倫理法人会は文京区湯島3-6-1 全国家電会館1階で、毎週月曜日 朝7:00からモーニングセミナーを開催しています。初めての方もゲスト参加(無料)でお越しいただけます。朝が難しい方は9:30から始まる「湯島つながりラボ」、平日の夜は Zoom で開く「ゆしラボオンライン」もあります。
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