窓のない部屋で目覚めた20歳。そこから極真空手の全日本チャンピオンになった女性が、いま人生を面白がれる理由とは──
2026年9月14日、第1128回湯島倫理法人会モーニングセミナーに、335合同会社代表の福田美み子氏が登壇しました。明るい笑顔とよく通る声からは想像しにくい、長いどん底の日々。講話のテーマは『想定外を生きる~人生は、思い通りより面白い~』です。思い通りにいかない毎日を、あなたは面白がれているでしょうか。

私がいると、大切なものを壊してしまう
当日の朝に飛び起きて、話す内容を一から書き直してきた。そう笑って始まった講話は、これまで人前でほとんど語ってこなかった半生の話でした。
福田氏は、ごく普通の家庭に生まれました。ただ、両親の仲はうまくいかず、小学校に上がる前から、父と母のどちらと暮らしたいか、好きな方を選んでいいと繰り返し聞かれて育ったといいます。どちらを選んでも、大好きな父か母のどちらかを不幸にしてしまう。幼い心には、自分がいるとすべてが壊れるという思い込みが刻まれていきました。
それでも、周りには元気に見せるのが上手な子でした。中学ではバスケットボール部で1年生からレギュラーをつかみます。ところがそれをきっかけに先輩からのいじめが始まり、それは家庭が崩れていく時期とも重なっていました。誰にも言えないまま、ある朝、足が動かなくなったのです。
病気になったというより、逃げたいという気持ちが、現実から逃げる術として不調を作り出してしまった。福田氏は当時をそう捉えています。そして一度その逃げ方を覚えると、同じことが心にも起こるようになっていったといいます。
どん底で聞いた、栓が抜けるような音
高校卒業後、親元を離れてからの出来事をきっかけに、福田氏の心は限界を迎えます。生きている意味がわからなくなり、命の危険に何度もさらされながら、そのたびに助けられました。入院先は次第に重い症状の人を受け入れる施設へと変わっていきます。
20歳の頃、目を覚ますと、そこは真緑の壁に囲まれた窓のない部屋でした。身動きもままならず、シーツもタオルもありません。周りでは昨日まで話していた人が突然いなくなる。そんな世界だったと、福田氏は静かに振り返りました。
このままでは、この命はいらない。そう思った瞬間に、もう一度普通に生きるにはどうしたらいいかを考え始めたといいます。自分の力で立ち直ると決め、厳しい断薬に踏み切り、人生を生き直すつもりで苦しい日々に耐え続けました。
そしてある日、心の中でシャンパンの栓が抜けるような音がしたのです。
「私、生きていいんだ」──そう思えた瞬間でした。
そこから少しずつ、社会へ戻る歩みが始まりました。
日本一の先に待っていた意外な答え
社会復帰を果たし、23歳で何気なく始めたのが極真空手でした。周りは4、5歳から道場に通う人ばかりです。女性の練習相手も、専属の師範もいません。先輩の背中を追いかけ、ひたすら稽古を重ねました。
当時、自分より稽古した人は世界にいない。これだけは今でも言い切れると、福田氏は力強く語ります。競技開始から4年足らずで、全世界大会無差別級3位、そして全日本チャンピオンに輝きました。世界大会で敗れた相手は、身長183センチの世界王者だったそうです。

ところが、日本一に輝いた瞬間に浮かんだのは「あれ、こんなもんか」という思いでした。欲しかったのは結果ではなかったのです。空手を、自分が生きていていい証明にしていた。だから幸せで、同時にとても苦しかったと明かしました。
当たり前のように追いかけている目標も、じつは別の何かの代わりなのかもしれません。
感が変われば、運と縁が変わる
空手の世界を離れ、過去を語れるようになったのはここ2~3年のことだといいます。群馬県でお寺の再生に関わり、空手と呼吸を組み合わせたMIND KARATEの企業研修にも取り組むなか、福田氏は自分に一つの設定をしました。面白い人生を生きる、と決めたのです。
すると、舞台、歌、プロレスと、1ミリも目指したことのない舞台が次々に巡ってくるようになりました。福田氏はその仕組みを、感・運・縁の三つで説明します。感覚、感謝、小さな感動、そして経験に裏打ちされた直感。この感が磨かれると運の流れが変わり、運が変われば人との縁が変わる。その先に、想定外の出来事がやってくるというのです。

もう一つの気づきは、自分が幸せなら周りの人も幸せになるということでした。矢印が自分にだけ向いていた頃は、苦しさしかなかった。いまは幸せが人へ巡っていく循環そのものが喜びなのだと、晴れやかな表情で語りました。
まとめ──共に学び、実践する一歩を
335合同会社の福田美み子氏の講話は、計画通りにいかない人生をどう受け取るかという問いを、私たちに手渡してくれました。どん底も頂点も、その振り幅があるからこそ物語は続いていく。この日の『万人幸福の栞』第4条「人は鏡、万象はわが師」とも重なる、自分の在り方が周りを変えていくという学びでした。
足りないところは、きっと誰かが助けてくれる。そう笑顔で語る福田氏の姿から、肩の力を抜いて生きるヒントを受け取った朝でした。私たちも、目の前の想定外を面白がるところから始めてみたいものです。
湯島倫理法人会では、毎週月曜日の朝7時から全国家電会館でモーニングセミナーを開催しています。どなたでもゲスト参加いただけますので、ぜひ一度お越しください。
私が幸せなら、すべてうまくいく。福田氏が最後に残したこの言葉を胸に、今週もスタートを切りましょう。
この日のモーニングセミナー









講師プロフィール
福田 美み子(ふくだ みみこ)
335合同会社 代表
群馬県出身。心身の不調による長い闘病生活を経て、23歳で極真空手に出会う。競技開始から4年足らずという異例のスピードで全世界大会無差別級3位、全日本チャンピオンに輝いた。2023年に335合同会社を設立し、空手と呼吸を融合させた人材育成プログラム「MIND KARATE」を開発・普及。元格闘家・大山峻護氏から継承したチームビルディングコンテンツ「ファイトネス」でアスリートのネクストキャリア構築にも取り組む。企業研修や経営者コーチングを展開し、群馬県での寺院再生に携わるなど、武道と社会をつなぐ複数の共創プロジェクトを推進中。2026年4月にはK-1のレジェンド審判団に選出された。自らの経験を通じ、人の可能性を拓き続けている。



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