「お客様が理不尽な言葉を浴びせてきて、対応した従業員が涙を流していた」──そんな場面に立ち会うたび、経営者としてどう向き合えばよいのか胸が痛む方も少なくないのではないでしょうか。人手も限られる中小企業では、対応方針を決めきれないまま従業員に我慢を強いてしまう、そんなお悩みも耳にします。

結論から申し上げますと、中小企業のカスタマーハラスメント対応は「①経営者としての方針表明」「②相談窓口の設置」「③初動と現場対応マニュアル」の3点を、小さくでも形にすることから始められます。厚生労働省が2022年に公表した『カスタマーハラスメント対策企業マニュアル』の枠組みに沿えば、専任担当を置けない企業でも段階的に整えていける道筋があります。

本記事では、公的統計から見えるカスハラの実態、中小企業ならではの3つの壁、明日から着手できる5つの実践ステップ、相談体制の作り方、そして経営者仲間と学び合う視点まで、順を追って整理します。私たち湯島倫理法人会 編集部も日々学び続けている一人として、皆様と同じ目線でご一緒に考えていけたら嬉しく思います。

中小企業を取り巻くカスタマーハラスメントの現状と法制化の流れ

中小企業のカスタマーハラスメント(以下、カスハラ)対応が待ったなしの経営課題になりました。厚生労働省の実態調査でカスハラ被害を受けた労働者は労働者全体の約15%、東京都では2025年4月から全国初の防止条例が施行され、企業規模を問わない対応が求められる時代に入りました。まずは、いま起きていることを客観的な数字で押さえてみます。

カスタマーハラスメントの現状と法制化の動き

労働者の被害割合

約15.0%

過去3年間にカスハラを受けた労働者

出典:厚生労働省『職場のハラスメントに関する実態調査』令和2年度

企業マニュアル公表

2022年2月

厚労省がカスハラ対策企業マニュアル策定

出典:厚生労働省『カスタマーハラスメント対策企業マニュアル』

条例施行

2025年4月

東京都カスハラ防止条例が施行

出典:東京都『カスタマー・ハラスメント防止条例』

厚生労働省の実態調査に見るカスハラの広がり

厚生労働省『職場のハラスメントに関する実態調査』(令和2年度)によれば、過去3年間にカスハラを一度以上受けた労働者は約15.0%にのぼります。パワーハラスメント(31.4%)に次いで発生頻度が高く、業種別では医療・福祉、小売、宿泊・飲食サービスなど、対面接客の現場でとくに割合が高い傾向が示されました。

同調査では、カスハラを受けた労働者のうち約4割が「誰にも相談しなかった」と回答している点も見過ごせません。窓口があっても機能していないケース、そもそも「これはカスハラだ」と言葉にできずに我慢してしまうケースが、想像以上に多く存在しているのが現場の実感ではないでしょうか。

労働施策総合推進法の改正とカスハラ対策の義務化

2025年の通常国会では、労働施策総合推進法の改正案が審議され、企業に対するカスハラ対策の措置義務化が進められる方向です。これまでパワハラ防止措置として整理されてきた枠組みが、顧客等からの著しい迷惑行為にも拡大される流れです。詳細は厚生労働省の公表資料をご確認ください。

企業規模による経過措置は今後の政省令で定まっていく見通しですが、方向性としては中小企業にも遠からず措置義務が及ぶ、と捉えておくのが安全です。「大企業の話」として先送りしていた対応を、いま準備段階に入っていただくタイミングと捉えています。

東京都カスタマー・ハラスメント防止条例が示す方向性

2024年10月、東京都は全国初となる『東京都カスタマー・ハラスメント防止条例』を公布し、2025年4月1日から施行しました。条例は罰則を伴うものではありませんが、顧客・事業者・都民それぞれの責務を明文化し、事業者に対して従業員のカスハラ防止措置を講じるよう求めています。都内で事業を営む中小企業には、条例を踏まえた社内体制の整備が期待されている段階です。

条例の内容は東京都産業労働局の特設ページにまとめられました。他の自治体でも同種の条例制定の動きが広がっており、東京都以外の地域でも「近い将来に対応が必要になる」と見通して準備を進めておくのが賢明ではないでしょうか。

中小企業がカスハラ対応で直面する3つの壁

大企業のように法務・人事の専任担当を置けない中小企業では、カスハラ対応そのものが経営者の悩みになりがちです。私たち湯島倫理法人会 編集部が湯島の会員企業の皆様からお話を伺う中でも、多くの経営者が「頭では対応が必要と分かっているのに、手が止まっている」現状を共有してくださいます。ここでは、共通して立ちはだかる3つの壁を整理してみます。

中小企業がカスハラ対応で直面する3つの壁

壁 1

人手不足でマニュアル整備の余裕がない

総務・人事を兼任している方が営業や現場も回しており、日々の業務を止めずに新しい仕組みを立ち上げること自体が高いハードルになる。

壁 2

顧客関係を恐れて我慢を強いる

既存顧客との関係悪化が売上に直結するため、経営者が対応に踏み切れず、従業員に無理を強いてしまう場面が出やすい。

壁 3

経営者自身が線引きに迷う

「これはクレームか、それともカスハラか」の線引きに経営者が自信を持てず、従業員の相談に「もう少し我慢しよう」と伝えてしまいがち。

壁1:人手不足で対応マニュアルを整備する余裕がない

「マニュアルを作らないといけないのは分かっているが、その時間が取れない」──これはお会いする経営者の方から本当によく伺うお言葉です。総務・人事を兼任している方が営業や現場も回している中小企業では、日々の業務を止めずに新しい仕組みを立ち上げること自体が高いハードルになります。

私たち編集部としても、限られた時間の中で全ての体制を一度に整えようとして息切れした事例を数多く見てきました。むしろ「A4一枚の方針文書」から始めて、少しずつ肉付けしていくやり方の方が、結果的に定着しやすいという実感があります。中小企業ならではの社員教育・体制づくりの工夫については、中小企業の社員教育の進め方の記事にも整理しています。

壁2:顧客との関係悪化を恐れて我慢を強いてしまう

「お客様は神様」という言葉が長く根付いてきた日本の商慣習では、理不尽な要求にも笑顔で応えることが美徳とされてきた側面があります。中小企業では特に、既存顧客との関係を壊すリスクが売上に直結するため、経営者が対応に踏み切れない場面も出てきます。

しかし近年は、顧客対応の負担で優秀な従業員が離職してしまう痛手のほうがはるかに大きい、という認識が広がってきました。従業員を守ることが結果的にサービス品質を維持し、健全な顧客との長期的な関係を守ることにつながる──こうした考え方への転換が、いま多くの企業で進行中です。

壁3:経営者自身がカスハラの線引きに迷ってしまう

「これはクレームか、それともカスハラか」の線引きは、実は現場でもっとも判断に迷うところです。要求内容が正当でも手段が過度に威圧的であればカスハラ、要求内容自体が社会通念上不当であれば内容の面からもカスハラ、という整理はありますが、グレーゾーンは常に存在します。

経営者自身がこの線引きに自信を持てないと、従業員から相談を受けても「もう少し我慢してみよう」と伝えてしまいがちです。厚生労働省のマニュアルには判断基準の例が示されているので、まずは経営者ご自身が一度目を通しておくと、いざという時に判断を委ねられる土台が整います。

従業員を守るカスハラ対応の5つの実践ステップ

厚生労働省『カスタマーハラスメント対策企業マニュアル』(2022年2月)を参考に、中小企業でも小さく始められる5つのステップに整理しました。すべてを一度に完璧にする必要はありません。できるところから少しずつ形にしていければ、半年〜1年で無理なく体制を立ち上げていただけるはずです。

中小企業向けカスハラ対応 5ステップ

1

方針表明

まずA4一枚の方針文書を書き社内に共有

2

判断基準の共有

要求内容の妥当性と手段の相当性の2軸で整理

3

相談窓口と初動

相談担当を1名決めて社内外に周知

4

現場マニュアル

4段階フローと定型フレーズをロールプレイ

5

振り返り

月次で事案記録を共有し方針を磨き続ける

参考:厚生労働省『カスタマーハラスメント対策企業マニュアル』2022年2月

ステップ1:経営者としての方針を社内外に明確に示す

最初のステップは、経営者ご自身が「当社は従業員を守る」という基本方針を明文化し、社内外に示すことです。A4一枚に、①従業員を守るという経営者の意思、②カスハラは看過しない姿勢、③従業員へのケアを最優先する旨、をご自身の言葉で書き起こしていただくだけでも十分な出発点になります。

方針文書は、朝礼や社内報で全従業員に共有した上で、可能であれば店頭や自社サイトにも掲示・掲載することをおすすめしたい取り組みです。「経営者の意思」が見える形で示されているだけで、現場の従業員は安心感を持って対応にあたれます。

ステップ2:カスハラの判断基準を全員で共有する

方針の次に整えたいのが「何をカスハラと捉えるか」の判断基準です。厚生労働省のマニュアルでは、①要求内容の妥当性と、②要求を実現するための手段・態様の相当性、の2軸で整理する考え方が示されました。この2軸を社内の共通言語にできると、現場での初動判断が揃ってきます。

私たちが伴走させていただいたある小売業の企業様では、朝礼の場で3ヶ月かけて事例を1つずつ全員で共有し、「これは応じる/これは断る」の線引き感覚を全員で育てていく取り組みをされていました。時間はかかりましたが、その分、現場の判断力が確実に育ったと受け止めています。

ステップ3:相談窓口と初動対応のルートを決める

従業員がカスハラ被害を受けた際に、誰に相談すればよいのか・どのルートで対応が進むのかを事前に決めておくことも大切な準備です。中小企業では専任の相談担当を置けないケースも多いため、まずは「相談担当は経営者本人」と明示するのも一つの選択肢です。

外部の労働局や社会保険労務士事務所、産業保健総合支援センターなどの外部相談窓口の情報も併せて掲示しておくと、社内では話しにくい内容にも道筋が開けます。詳しくは厚生労働省 総合労働相談コーナーのページをご確認いただけます。

ステップ4:現場対応マニュアルとロールプレイの用意

方針・判断基準・相談ルートが固まったら、現場での具体的な対応手順に落とし込みます。「一次対応→上長エスカレーション→組織的対応→記録」という4段階のフローと、それぞれの段階で使う定型フレーズを整理しておくと、いざという時の心理的負担が大きく下がります。

さらに、月1回程度のロールプレイの機会を設けていただくと、実践力が一段上がります。想定シナリオを持ち寄って役割を交代しながら演じることで、頭で理解している対応を身体で覚えていけます。

ステップ5:起きた事案を振り返り、方針を磨き続ける

実際に事案が起きた後は、記録を残して振り返る運びとします。日時・状況・対応・結果・改善点を短くまとめた「事案記録シート」を用意し、月次で全事案を経営者と現場責任者で振り返る場を作ることをおすすめしたい取り組みです。

振り返りの積み重ねが、方針・判断基準・マニュアルを実態に合わせて磨いていく原動力になります。「作って終わり」にせず、少しずつ磨き続ける姿勢が、結果的に従業員の安心感と現場の対応力を育てていくのだと、私たちも経験から学ばせていただきました。

従業員が声を上げやすい相談体制の作り方

マニュアルを整えても、相談しづらい空気が残っていては機能しません。前述の厚生労働省の実態調査でも、カスハラ被害を受けた労働者のうち約4割が「誰にも相談しなかった」と回答しました。中小企業ならではの距離の近さを活かして、日常の中で相談できる体制をどう作るかを、皆様とご一緒に考えてみたいと思います。

窓口の型メリット留意点参考情報
内部窓口(経営者本人・総務担当)初動が早い/自社の実情に沿った判断ができる経営者との人間関係で相談しにくい従業員が出やすい経営者から相談を歓迎する旨を繰り返し発信
外部窓口(社労士・弁護士等)中立性が高い/専門的助言が得やすい費用負担/会社との連携ルートを整えておく必要顧問社労士・地域社労士会
公的相談窓口(労働局等)無料/匿名で相談可直接的な解決ではなく相談・情報提供が中心厚労省 総合労働相談コーナー

※出典:厚生労働省『カスタマーハラスメント対策企業マニュアル』(2022年2月)を参考に編集部整理

外部窓口と内部窓口を組み合わせる意味

中小企業では、内部窓口と外部窓口を「二段構え」にしておくと安心感が生まれやすくなります。経営者本人には話しにくい内容でも、顧問の社会保険労務士や地域の社労士会、労働局の総合労働相談コーナーなど、社外の窓口があれば従業員が声を上げる道が確保されます。

外部窓口を活用する場合は、「相談したことで社内で不利益な扱いを受けない」という保証を経営者から明確に伝えておくことが欠かせません。窓口の存在よりも、経営者の姿勢そのものが従業員の安心感を左右する場面がとても多いという実感があります。

1on1や朝礼を活用した早期のシグナルキャッチ

制度的な窓口だけでなく、日常のコミュニケーションの中でシグナルを拾える設計も同時に育てていきたいところです。月1回の1on1、週1回の全体朝礼、日々のちょっとした声かけ──こうした積み重ねが、深刻化する前の段階で気づける仕組みになります。

私たち湯島倫理法人会 編集部でも、朝の挨拶ひとつが「明朗(ほがらか)」の実践だと日々学ばせていただく毎日です。ほがらかな挨拶が交わされる職場は、困り事も自然と口に出せる空気に育っていく──そんな連鎖を、多くの経営者の方が語ってくださいます。中小企業での朝礼の始め方は、中小企業の朝礼導入ガイドにも実務のヒントをまとめました。

被害を受けた従業員へのケアと再発防止の仕組み

事案が起きた後の従業員ケアも、極めて重要な工程です。厚生労働省のマニュアルでは、被害者への配慮として①業務からの一時的な離脱、②配置転換、③産業医・専門機関への相談、④心理的ケアの提供、などが例示されています。事案の重さに応じて、経営者と本人が対話しながら選択肢を選んでいく流れが基本形の一つです。

再発防止の観点では、事案の内容を個人が特定されない形で社内共有し、判断基準やマニュアルの更新に反映させていく運びが理想的です。「一つの事案を、組織の学びに変える」姿勢そのものが、従業員に「自分が声を上げた意味があった」という実感をもたらします。

経営者仲間と学び合うことで見えてくる、カスハラと向き合う姿勢

カスハラ対応の難しさは、法律や制度の話にとどまらず、「従業員を大切にする経営とは何か」という経営者自身の姿勢に行き着きます。私たち湯島倫理法人会の朝の学びの場でも、同じ悩みを抱える経営者の方々と対話するなかで、実務のヒントと勇気をいただくことが少なくありません。

同じ悩みを抱える経営者との対話がもたらす気づき

経営者は孤独になりがちです。従業員には相談できない葛藤、家族にも話しにくい判断の重さを、同じ立場の経営者仲間となら率直に共有できる場面があります。経営者の孤独をどう乗り越えていくかは、経営者の孤独と相談先の記事でも掘り下げていますので、あわせてご覧いただけたら幸いです。カスハラ対応のような「正解のない判断」を積み重ねるテーマこそ、他社の経営者の考え方に触れることが、自社の判断軸を育てる何よりの栄養になると捉えています。

湯島倫理法人会には、業種も規模も異なる経営者が毎週集います。話題に上がるのは大きな成功談ばかりではなく、「うちも同じ悩みを抱えている」「先週こんな失敗をしてしまった」といった等身大の共有です。こうした対話の積み重ねが、経営者一人ひとりの判断軸を静かに育てていく場面を、私たちも数多く見てきました。

湯島倫理法人会モーニングセミナーへのゲスト参加案内

湯島倫理法人会では、毎週月曜日の朝7:00から全国家電会館(東京都文京区湯島3-6-1)1階でモーニングセミナーを開催中です。会員以外の方もゲスト参加が無料でしていただけますので、朝の学びの空気に触れてみたい経営者の方には、まず一度お越しいただけたら嬉しく思います。

朝7:00開始のセミナーは少しハードルが高い、という方には、セミナー終了後の9:30〜11:00に開催している湯島つながりラボ(つなラボ)もお勧めしたい場です。U-cafe 上野御徒町を貸切って、経営者・フリーランス・士業の方々がゆるやかに交流する時間になっています。ドリンク代のみで参加でき、事前予約も不要です。

湯島の朝、経営者仲間と学び合う場所

湯島倫理法人会 モーニングセミナー & 湯島つながりラボ

MS

モーニングセミナー

毎週月曜 7:00〜8:00/全国家電会館1階
東京都文京区湯島3-6-1/ゲスト参加は無料

経営者の学び朝食会あり
LAB

湯島つながりラボ(つなラボ)

毎週月曜 9:30〜11:00/U-cafe 上野御徒町
ドリンク代のみ/事前予約不要/初参加歓迎

カジュアル交流初参加歓迎

「朝が早い」と感じる方も、まずは つなラボ からご参加いただけます

カスタマーハラスメント対応は、制度整備という「見える取り組み」と、経営者としての姿勢という「見えない取り組み」の両輪で育っていくテーマだと考えています。皆様の会社ならではの一歩を、私たち湯島倫理法人会 編集部もご一緒に考えていけたら幸いです。

FAQ|中小企業のカスタマーハラスメント対応でよくあるご質問

Q1. 中小企業でもカスタマーハラスメント対策は義務化されるのですか?

はい、方向性は明確です。2025年に労働施策総合推進法の改正案が国会で審議され、企業規模を問わずカスハラ対策の措置義務化が進められる方向で調整中です。すでに東京都では2025年4月から『東京都カスタマー・ハラスメント防止条例』が施行されており、都内で事業を行う中小企業にも取り組みが期待されました。

Q2. 限られた人員・予算の中で何から始めればよいでしょうか?

まずは経営者としての「従業員を守る」という基本方針を紙1枚に文章化し、社内で共有することから始められると良いのではないでしょうか。次に相談窓口の担当者を1名決めて、社内外への周知を行うだけでも、従業員が声を上げやすい環境に一歩近づきます。厚生労働省の企業マニュアルには中小企業向けの雛形も掲載されているので、参考にされると効率的です。

Q3. 従業員がカスハラ被害を相談してきたら、どのように対応するのが良いですか?

まずは事実確認より先に、被害を受けた方の気持ちに寄り添って話を聴くことが大切だと考えています。そのうえで、事実関係を落ち着いて整理し、必要に応じて業務からの一時的な離脱・配置転換・専門機関への相談などの選択肢を本人と一緒に検討する流れが基本です。厚生労働省のマニュアルにも被害者へのケアの重要性が明記されました。

Q4. 顧客との関係を壊さずにカスハラに対応することはできますか?

「言葉を選んで毅然と対応する」という姿勢を組織として共有できていれば、健全な顧客との関係はむしろ守られやすくなると捉えています。すべての要求を我慢して受け入れることが顧客第一ではなく、従業員を守ることが結果的にサービス品質の維持にもつながる、という考え方が近年広がってきました。

Q5. カスハラの判断基準が曖昧で、社内で判断が割れてしまいます。どう揃えていけばよいでしょうか?

厚生労働省のマニュアルでは、①要求内容の妥当性、②要求手段の相当性、の2軸で判断する考え方が示されています。この2軸を社内の共通言語にした上で、実際の事例を月1回程度みんなで振り返る場を続けていくことで、判断感覚が少しずつ揃ってきます。時間はかかりますが、対話を重ねる過程そのものが、現場の対応力を育てていく大切な機会になると受け止めています。

Q6. 外部の相談窓口には、どんな選択肢がありますか?

代表的なのは、厚生労働省・都道府県労働局が設置する「総合労働相談コーナー」(無料・匿名可)、地域の社会保険労務士会や顧問社労士、産業保健総合支援センター、弁護士会の相談窓口などです。中小企業では顧問社労士を第一窓口とし、公的窓口を第二の選択肢として案内する二段構えが取り組みやすい形の一つです。

倫理経営を朝から学ぶ、湯島の経営者コミュニティへ

湯島倫理法人会は文京区湯島3-6-1 全国家電会館1階で、毎週月曜日 朝7:00からモーニングセミナーを開催しています。初めての方もゲスト参加(無料)でお越しいただけます。朝が難しい方は9:30から始まる「湯島つながりラボ」、平日の夜は Zoom で開く「ゆしラボオンライン」もあります。

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