「実は3ヶ月で辞めるつもりで入会したんです」——そう穏やかに語り始めたのは、東京都倫理法人会 幹事長を務める松尾光宵氏。AI for Human Science株式会社 取締役としても活躍される松尾氏が、湯島倫理法人会での講話で明かしてくださったのは、一つひとつの「はい」が人生を変えていった物語でした。あなたは、目の前のご縁にどれだけ真摯に向き合っているでしょうか。
プロフィール
東京都倫理法人会 幹事長 / AI for Human Science株式会社 取締役 松尾光宵氏
2017年に湯島倫理法人会へ入会後、数々の役職を経験され、2022年には霞が関倫理法人会の専任幹事として新設単会の立ち上げに尽力。現在は東京都倫理法人会幹事長として、「東京5000社」という目標に向けて活動されています。「頼まれた役は『はい』と受ける」という実践を通じて成長を続けてこられた経営者です。

一つの「はい」が人生を変える——辞めるつもりだった倫理法人会
松尾氏が湯島倫理法人会に入会されたのは2017年。きっかけは友人からの誘いでしたが、当時は「3ヶ月で辞めるつもり」だったと振り返られます。他の経営者団体に所属していた松尾氏は、倫理法人会に対して先入観を持っていたそうです。
しかし、その考えは大きく変わることになりました。3ヶ月目、辞めることを伝えようとした松尾氏に「進行をやってみませんか」という声がかかります。「最後ぐらい『はい』と言って辞めよう」——そう思って引き受けた進行という役割が、松尾氏の人生を大きく変える転機となりました。
「参加者として座って見える景色と、進行という役割をいただいて見る景色が、全く違って見えたんです」
その瞬間、松尾氏は気づかされたといいます。「もしかしたら、もったいないことをしているかもしれない」と。それからは辞めることをやめ、「頼まれた役は『はい』と受ける」という姿勢で倫理法人会に向き合うようになられました。
私たちも日々、様々な依頼や誘いを受けます。その一つひとつに、どれだけ真剣に向き合っているでしょうか。
見えない世界を信じる——役割が運んでくる成長のチャンス
なぜ松尾氏は、どんな役割でも引き受けると決めたのでしょうか。
「人を通して依頼は来るけれど、その人に頼もうと思う『見えない”動き”』がある。私たちは見える世界と見えない世界を学んでいますから、見えない世界を信じようと思ったんです」
役割は、その人にできると思われるものだけが来るわけではないと松尾氏は教えてくださいました。コンフォートゾーンから抜けていくことで、成長があります。
その中でも特に大きな転機となったのが、2022年の霞が関倫理法人会の専任幹事としての経験でした。当時の湯島倫理法人会の今井会長をはじめ、多くの方々のサポートを受けて、松尾氏は新設単会の立ち上げという大役を担われます。
「このご縁がなかったら、今の私はありません」
そう振り返る松尾氏の言葉からは、一つひとつの役割を通じて積み重ねてきた経験の重みが伝わってきました。
霞が関153名の新設単会——「絆を力に」という共通言語
霞が関倫理法人会は、東京都45番目の単会として153名で設立されましたが、分会ではなく完全に新しいメンバーでスタートしたことが特徴でした。85%が「倫理って何?」という方々。そんな中で組織をどうまとめていくのか——松尾氏が最初に考えたのは、「望ましい未来の姿から逆算する」というバックキャスティングの発想でした。
会の未来の姿を描き、組織には共通言語として“理念”や”Vision“が必要です。そして生まれたのが、初代会長が提唱した「縁と絆を力に」という言葉です。
「縁」という種を2年かけて育て、それを2年で「絆」に変え、さらに2年で「力」にしていく。このような6年計画を、松尾氏は単会運営に導入されました。
組織づくりにおいて、共通言語を持つことの大切さを学ばせていただきました。それは会社経営でも、家庭でも、あらゆる組織に通じる普遍的な原則ではないでしょうか。
機動型と協働型——違いを理解することがリーダーシップ
松尾氏が組織運営で特に意識されたのが、人のタイプの違いを理解することでした。
「機動型」は明確な目標設定に燃えるタイプ。「20周年を100社で迎える」と聞いてワクワクする人たちです。一方「協働型」は、数字よりも「みんなで仲良く学ぶ」ことを大切にするタイプ。どちらが正しいということではなく、両方のタイプが組織には必要だということを教えていただきました。
「自分のフィルターを通すと、自分と違う人には届かない。それを前提に話をしないと、リーダーシップは発揮できない」
この言葉は、経営者としてチームをまとめる上で、とても重要な示唆を含んでいるように感じられました。自分と違う価値観の人を理解し、その人に響く言葉で伝える——それがリーダーの役割なのだと気づかされます。
東京5000社が意味するもの——数字の向こうにある想い
現在、東京都倫理法人会は「東京5000社」という目標を掲げています。しかし松尾氏は強調されました。「これは数を言っているのではない」と。
「純粋倫理を基底に生きて、そこに事業や家庭や人間関係を基底に生きていった人が増えれば、日本は良くなる。そんな経営者を1社ずつ増やしていく——それが東京5000社の意味です」
社員を幸せにする経営者が増え、その社員がお客様を幸せにしていく。そうして事業が栄え、業界が繁栄し、産業界が発展していけば、日本という国の力が上がっていく。その壮大なビジョンを、分かりやすく伝えるために「5000社」という数字を使っているのだと理解することができました。
数字の向こう側にある想いを理解することで、目標は単なるノルマではなく、志に変わるのではないでしょうか。

会長と心を合わせる——「会長に」ではなく「会長と」
松尾氏が大切にされているのが、「会長と心を合わせる」という姿勢です。「会長に」ではなく「会長と」——この違いが重要だと教えてくださいました。
「会長に合わせる」なら、言われたことに全てイエスと答えるだけになります。しかし倫理法人会で学ぶのは「生成発展」——相反する二つの力が融け合ったときに、新しいものが生まれるという考え方です。
「決定するまではちゃんと話をしてください。でも決定したら、全てオール『はい』です」
この言葉に、民主的でありながら実行力のある組織運営の秘訣があるように感じられました。私たち一人ひとりが独立した人格を持ち、それぞれの考えを持ち寄って議論する。そして決まったら一致団結して進む——その実践を、単会運営の中でできることに大きな意味があるのではないでしょうか。
「はい」の積み重ねが未来を紡ぐ
松尾光宵氏の講話を通じて、一つひとつの「はい」が人生を変えていく力を学ばせていただきました。3ヶ月で辞めるつもりだった倫理法人会が、今では人生の中心にあり、多くの方々とのご縁を紡いできた——その原点にあるのは、目の前の役割に真摯に向き合う姿勢でした。
「お役は全て受けてください。それは自分のためです。そして、その自分のためにやったことが、周りの方に喜んでいただける」
AI for Human Science株式会社 取締役としても活躍される松尾氏の言葉には、倫理の学びを事業に、そして人生に活かしてこられた実践者ならではの重みがありました。
湯島倫理法人会では、毎週モーニングセミナーを開催しています。経営者として、一人の人間として、どう生きるべきか——そのヒントがきっと見つかるはずです。ぜひ一度、足を運んでみてはいかがでしょうか。あなたの人生を変える「はい」が、そこで待っているかもしれません。
実践的な学びと志を同じくする経営者との出会いが、ここにあります。
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