湯島倫理法人会モーニングセミナーでは、東京都倫理法人会 会長の山口哲史氏を講師にお迎えし、「家業廃業からの再起と組織づくりの実践」をテーマにご講話いただきました。
50年続いた菓子製造業の廃業という挫折から、保育園事業で年商132億円の企業グループを築き上げた実体験を通じ、経営者が成長するための本質について語られました。
講師プロフィール
東京都倫理法人会 会長 山口哲史氏は、岡山県出身で家業の菓子製造業3代目として事業を継承。しかし、価格競争の激化により50年以上続いた会社を廃業。その後、保育園事業に転身し、現在は社会福祉法人ちとせ交友会として全国70施設、職員数1,960名、事業活動収入132億円を誇る企業グループを率いる。教育と福祉の分野で社会貢献を実践する経営者として注目を集めている。

講話の要点
1. 「努力よりも設計」- 戦う土俵の重要性
山口会長は「努力不足ではなく、戦う土俵が違う」と強調しました。菓子製造業という成熟産業から、社会的ニーズの高い保育園事業へと転身したことで、「爆発的に伸びるマーケットの入口に立てた」と振り返ります。経営者には努力だけでなく、時代の流れを読む俯瞰力と適切な事業領域の選択が不可欠であることを実体験から語られました。
2. 「選んだ道を正解にし続ける」リーダーシップ
組織運営において、山口会長は「選んだ道が正しいと思ったら、それを正解にし続ける実行力」の重要性を説きました。優柔不断な意思決定は現場を混乱させ、組織の士気を下げる。トップが決断したことを一貫して推進し、結果に責任を持つ姿勢こそが、メンバーの信頼を得る鍵だと強調されました。
3. 「内発的動機への転換」- Z世代のマネジメント
従来の外発的動機(叱咤激励による指導)から、内発的動機(個人の価値観に響く声かけ)への転換について言及。「なぜダメなのか」ではなく「どうやったらあなたらしくできるか」という問いかけに変えることで、現代の若手社員のやる気を引き出す手法を実践されています。
4. 「常に新しいビジョンを掲げる」組織活性化
年商100億円を達成した際に起きた組織の内向き志向を、新たな療育施設展開というビジョンで解決した経験を紹介。「100億になったときにまた新しいビジョンを掲げる。常に新しいビジョンを掲げていかないと、組織がマンネリ化する」という教訓を語られました。
印象的なエピソード
最も心に響いたのは、山口会長が家業廃業時の心境を語った場面でした。「両親は菓子屋を全国に広げて社会貢献したいという夢を持っていた。その夢を私が成功することで親孝行できると思い続けてきた」という言葉から、経営に対する深い使命感が伝わってきました。
また、保育園で全職員が一斉退職した危機的状況で、パートの先生方が「正規職員になります」と支えてくれたエピソードでは、「人を通して結果を出す」リーダーシップの真髄を実感されたとのことです。この経験から、承認の重要性に気づき、現在では給料明細と一緒に職員一人ひとりの良い点を手書きで伝える取り組みを続けているそうです。
倫理法人会の学びについては、「目に見えないところを大切にすることで企業を伸ばしていく。これは教育も同じ」と語り、非認知能力の重要性を保育園経営と重ね合わせて説明されました。内を制する力、感情をコントロールする自制心こそが、真のリーダーシップの源泉だと強調されました。
まとめ
山口会長の講話は、単なる成功体験の披露ではなく、挫折から学んだ経営の本質を惜しみなく共有していただいた貴重な機会でした。「時代の風は常に流れている。チャンスに選ばれる準備ができた人にその風が届く」という言葉は、日々の倫理実践の重要性を改めて認識させてくれます。
経営者として、そして人として成長し続けるために、あなたは今日から何を実践しますか?
湯島倫理法人会のモーニングセミナーは毎週開催しています。経営者の生の声を聞き、実践的な学びを得たい方は、ぜひご参加ください。
時代を読む俯瞰力と、選んだ道を正解にする実行力を身につけませんか。
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